来年4月の介護報酬改定に向け、社会保障審議会介護給付費分科会は3日、関係団体からのヒアリングを開始した。2回にわたって計28団体から意見や要望を聞き、今後の議論に生かす。初回のヒアリングでは、AI(人工知能)を活用したケアプラン作成を推進するための加算の創設や、居宅のケアマネジャーとリハビリ専門職との連携による「自立支援型ケアマネジメント」を実現するための対象拡大などを求める声が上がった。
この日、ヒアリングの対象となったのは、日本ホームヘルパー協会や全国介護事業者連盟、全国社会福祉法人経営者協議会など18団体。
オンラインで開催された分科会
この中で全国介護事業者連盟は、AIを活用したケアプラン作成を推進するための加算の創設を要望。現在、さまざまな企業が「ケアプランAI」の開発を進めているが、斉藤正行理事長は「どのようなAIであれば良しとするのかという要件は、政府の方でも各省庁の皆様方も、いろいろとご議論されていると思うので、そういった内容を踏まえた上でということが大前提になる」と述べた。
その上で、「質をたん保していくことを大前提として、効率化を図ることができる一定のエビデンスや根拠が存在しているAIを活用した場合に、別途の加算や利用者さんの人数の上限、集中減算といった要件の見直しをご検討いただきたい」と主張した。
また、リハビリ関連団体でつくる「全国リハビリテーション医療関連団体協議会」は、前回の介護報酬改定で拡充された「生活機能向上連携加算」の対象として、居宅介護支援事業所を新たに加えることを求めた。
同加算では、外部の訪問・通所リハビリ事業所や医療機関のリハビリ専門職らの助言を受けた上で、事業所が介護計画を作成することが要件の一つとなっている。
全国デイ・ケア協会の近藤国嗣会長は、「各介護事業所内の計画作成だけでなく、ケアプラン自体にリハビリ活用の視点が増えれば、より自立支援型ケアマネジメントの実施が可能になると思う」と指摘。日本言語聴覚士協会の深浦順一会長も、「自立支援・重度化防止に資する介護を推進するためには、介護支援専門員と理学療法士、作業療法士、言語聴覚士がチームとなり、速やかに自立支援型ケアマネジメントを実施することが有効だ」と述べた。