将来、自身の判断能力が不十分となったときに備えるための任意後見制度。介護が必要な高齢者の生活を支えるケアマネジャーにとっても、心強い存在だ。実際、ケアマネの多くはこの制度について前向きに評価していることがケアマネジメントオンラインの調査で分かった。その一方、利用者に勧めるのは難しいと感じるケアマネも9割近くに達しており、良いとわかっていても実際に活用を勧めるのはハードルが高いという現実も浮き彫りになった。
■「よい制度」「利用者に勧めたい」と思うケアマネは7割超
調査では任意後見制度を利用することは、利用者本人のとってよいことかどうかを尋ねた。その結果、「よいと思う」(「とても思う」と「少し思う」の合計)は74.6%に達し、「よいと思わない」(「あまり思わない」と「全く思わない」の合計)の3%を大きく上回った。「どちらともいえない」は22.4%だった。
任意後見制度を利用者に勧めたいと思ったことはあるかの問いに対しては「ある」が71.6%となったほか、実際に勧めたことがあるかどうかを尋ねた質問では、「ある」が56.7%となった。
■勧めるための最大の壁は、やはり「費用」
一方、任意後見制度を利用者に勧めるのが難しいと感じたことがあるかどうかや、その理由について複数回答で尋ねたところ、「困難だと感じたことはない」と答えたケアマネは12.7%にとどまった。
9割近いケアマネが、この制度を利用者に勧めるのは難しいと感じていたことになる。
また、その理由として最も多かったのは「費用が賄えない」(47.0%)。以下は「本人や家族が反対している」(30.8%)、「適切な後見人がいない」(26.8%)、「タイミングがわからない」(19.0%)などの順となった。=グラフ=