<介護食市場>介護食と高齢者向け食品の国内市場は1000億を突破!

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済は、2013年4月から5月にかけて、施設給食、宅配、小売、卸における高齢者向け食品の動向と介護食品市場について調査を実施し、その結果を報告書「高齢者向け食品市場の将来展望 2013」にまとめた。

【調査結果の概要】
1.介護食市場(メーカー出荷ベース)
2012年:1,020億円
2020年予測:1,286億円
12年比:126.1%

介護食市場は、流動食、やわらか食、栄養補給食、水分補給食、とろみ調整食品・固形化補助剤(以下:とろみ調整食品)を対象とした。

2011年は東日本大震災の影響から前年割れとなったが、2012年にはその影響もなくなり市場は1,000億円を突破した。65歳以上の人口が3,000万人を超え、医療費や介護施設サービス利用者の増加などから政府は在宅介護を推進しており、今後を見越して、在宅用に注力する企業が増加している。在宅用介護食市場は123億円(2012年)と全体に占める割合が12%に留まるが、2013年には前年比9.6%増と2桁に迫る伸びが見込まれる。

一方、市場のメインとなる施設用では価格競争が激化しつつあり成長率が鈍化している。特に影響が出ているのが流動食ととろみ調整食品で、在宅用の販売を強化する動きが見られる。やわらか食は在宅用、施設用共に参入企業の注力度上昇と積極的な営業により拡大している。この他、栄養補給食は完全栄養食である流動食と競合しており、2012年4月に「栄養管理実施加算」が廃止され市場の縮小が懸念されたものの影響は見られなかった。また、水分補給食は水分補給という点でとろみ調整食品と競合するが、とろみ調整食品の伸びが鈍化していることや暑さ対策としての需要が高まっており拡大している。
今後も高齢者人口の増加により各品目とも拡大が続くと見られ、2020年には1,286億円が予測される。

在宅用に介護食を購入する場合、身体の健康状態などから個人に適した商品を選択することが必要となる。医師やケアマネージャーの紹介をきっかけに購入するケースが多く、販売チャネル別に見ると通販の比率が7割と圧倒的に高い。価格の安さと品揃えの良さといった通販のチャネルとしての適性だけではなく、まとめ買いのしやすさや無料配送サービスが受けられるなどの理由からリピーターが多い。

小売店では、薬局・薬店、量販店などでトライアルでの購入が見られる。薬局・薬店は元々介護用おむつや介護用品と共に介護食も販売されており、在宅用介護食市場の2割程度を占める。量販店では、認知度の低さ、購入時の商品選択の難しさ、商品の回転率の悪さなどから専用売場を設ける店舗が少ない。しかし、2012年12月からはイオンのPB「トップバリュ」での販売が開始されており、今後が注目される。

流動食
2011年の市場は大震災で工場の被災や容器不足が起き、生産に支障をきたしたため前年割れとなったが、2012年は2010年並みの659億円となった。明治やクリニコが在宅用の販売を強化しているが、主力の施設用では価格競争が激化しており、今後は伸び率が鈍化すると見られる。
用途別には施設用が90%、在宅用が10%である。在宅用の販売チャネルとしては通販が9割を占めるが、薬局・薬店や量販店などの実績が増加しており、小売店向け製品として125ミリリットル紙パックなど小容量のものが増加している。

■在宅用やわらか食
2012年の施設用・在宅用を合わせたやわらか食市場は105億円である。施設用は積極的な営業が奏功し前年比9.3%増と2桁に迫る伸びとなり、在宅用は参入企業の注力度アップで同15.0%増となった。2005年以降参入した後発企業も今後注力度を上げると見られ、在宅用やわらか食市場は継続的に拡大し2020年には45億、やわらか食に占める割合も26%が予測される。

販売チャネルとしては薬局・薬店が6割を占める。量販店などでも展開されているが、大手GMSでも回転率が低く取り扱う店舗が少ない、商品の陳列が介護用品売場のため食品のついで買いが見られにくいなどの理由により、構成比は低い。そのため、小売店以外のチャネルとして通販での販売も進めており、やわらか食を販売している店舗が分からない消費者に対するアプローチとして企業が注力している。

やわらか食は、通常メニューでは誤嚥を引き起こす可能性がある咀嚼困難者及び嚥下困難者に対するキザミ食やミキサー食、ソフト食、ムース食などを指す。常食をベースにキザミ食やミキサー食を調理することも多い。しかし、常食と形状が異なるため食欲が湧かない利用者も存在し、見た目や味を常食と似た形に加工し咀嚼・嚥下しやすくしたソフト食やムース食などが2000年頃から投入されている。また、見た目や香り、食感、栄養素はそのままに、食材を柔らかくする「凍結含浸法」や「酵素均浸法」を採用した商品が注目されている。

2.宅配サービス市場(65歳以上向けサービスを対象とする)
■病者・高齢者食宅配(小売りベース)
2012年:848億円
2020年予測:985億円
12年比:116.2%

元々は糖尿病や腎臓疾患など食事制限を必要としている患者向けであったが、買物や調理が困難になった高齢者でも栄養バランスのよい食事を手軽に利用できる点が支持されている。在宅用が88%を占めているが、施設用でもデイサービスセンターデイケアセンターの他、栄養士の長期休暇に合わせたスポット採用が見られる。

ワタミタクショクやシルバーライフなど参入企業の出店攻勢によって市場が急拡大しており、2012年は前年比17.0%増となった。介護食を除けば食事提供に関するノウハウが少ないため参入障壁が低く、市場拡大に伴い外食事業者や介護サービス事業者を中心に新規参入が相次いでいる。

食事だけでなく安否確認や家事・買い物代行などのサービスを合わせて提供することで独自性を打ち出そうとしているが、決定的な差別化にはつながっておらず、低価格メニューを展開できる企業に需要が集中する傾向にある。長期的には、スケールメリットによる高品質かつ低コストでの食事提供、特殊な技術を用いた介護食の提供、介護事業など既存事業とのシナジーを発揮できる企業など、特色を打ち出せる企業が実績を伸ばすと予想される。

◎(株)富士経済
http://www.fuji-keizai.co.jp/

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