「介護」その日のために
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ご本人の気持ちを考えよう
介護が必要となった親に対して、子世代が動きだすとき、「恩返し」「親孝行」とばかりに張り切りすぎて、なんでも大げさに考えすぎてはいませんか?
もちろん子世代、若い世代のほうが情報量も多く、便利なものや優れたものをたくさん知っています。
しかし、「合理的だから」「こっちのほうが便利だから」「コストパフォーマンスがいい」「評判がいい」……そんな理由で、親世代のこれまでの生活を大きく変えてはいけません。まずは親を交えて時間をかけて話し合うことをおすすめします。
なぜなら、高齢になればなるほど、長年培った生活スタイルや習慣を変えることは容易ではないからです。病気になったり、介護が必要になっても、できれば変わらぬ生活を続けたいと願っているものです。
■口ぐせは「子どもの世話にはならない」はずだが……
親世代のなかには、「子供に迷惑をかけたくない」「動けなくなったら老人ホームに入るから」と公言している人も多く存在します。本当にそう思っていたとしても、現実は、そんなにうまくいかないものです。
公的な施設は40万人待機、有料老人ホームも年金で賄えるものは多くはありません。
親世代が口にする「子どもの世話にならない」は当てにはできません。そのうえで、弱って介護が必要となっている親の立場になって、どんな生活を望むのか、そのために必要なものはなにかを、一緒に考えていきます。
■目の前の親はかつての親ではない
「親のことならある程度わかる」と思っていても、同居ならいざしらず、離れて生活するようになって長い月日が経過している場合は、インプットされた両親像とは大きく異なっていることもあります。
たとえば、ご本人の「現在」の趣味や日々の楽しみ、好きな食べ物は知っていますか?
親の友人や知人の名前や顔を認識できますか?
介護保険を利用する場合、ケアマネジャーが作成するケアプランには、「その人のあるべき生活」が反映されます。ケアマネジャーは、ご本人とじっくり話し合い、短期プランと長期プランの両輪で、さまざまなサービスを組み合わせて望む生活の実現に近づく努力をするのです。
しかし、実の子どもは、どうしても親には「○○したら?」「○○がいいと聞いたから手続きしておいたよ」などと、ちゃんと相談もせず、一方的にことを進めがちです。親はNOとはいわず諾々と従うふりをしますが、真に自分から望んだものでないものには、すぐ飽きてしまったり、上の空だったりして、後で「楽しかった?」と聞いても、よく覚えていなかったりするものです。
ご本人自ら希望を語らない場合は、こちらから選択肢を提示しなくてはなりませんが、その場合も、あくまで主体はご本人にあるのですから、強引に「これがいい」と押し付けるのではなく、複数の選択肢を提示し、「こういうのもあるけど、どう?」と、選んでいただきましょう。
子供のころ、誰よりも優しかった母、頼もしかった父が、年老いて弱っていくのを見るのは忍びないものです。しかし、だからこそ、親がどんなふうに人生を全うしたいのかを、親の気持ちになって考えてみるべきでしょう。
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