複数の病気を抱える高齢者が、さまざまな薬を飲むことで副作用などが起こる「ポリファーマシー」について、厚生労働省の作業部会は、介護施設や自宅など、急性期以外の療養環境別の留意点などを記した指針案を大筋でまとめた。同省では、25日に開く有識者検討会に報告後、年度内の策定を目指す。
指針案は、同省が昨年策定した「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」の追補版に当たり、(1)外来、在宅(自宅やサービス付き高齢者向け住宅など)、常勤医が配置されていない施設(特別養護老人ホームなど)(2)回復期・慢性期の入院医療(3)常勤医が配置されている施設(介護老人保健施設や介護医療院など)―と、療養環境ごとの留意点が盛り込まれている。
処方内容の確認・見直しについては、多職種による情報共有の必要性を改めて示し、3つの療養環境に共通するケアマネジャーの役割として、▽各職種からの服薬・生活状況に関する情報の集約▽主治の医師・歯科医師・薬剤師への情報の伝達▽処方の変更内容を地域内の多職種と共有―の3点を明記。医師や歯科医師に対しては、薬物療法の際の留意点や観察すべき症状、服薬支援の方法を、医療・介護スタッフに具体的に伝えることを努力義務とした。
特に(3)については、施設の職員ができるだけ利用者の自宅を訪問し、薬の保管場所や服薬の方法などを確かめた上で、退所後にきちんと服用できる方法を検討するよう求めた。その方法の一つとして、施設のケアマネや支援相談員が、家族が服薬状況を確認できる時間帯を把握し、医師・歯科医師の指示の下、その時間に合わせて1日3回服用する薬を夕食後の1回分にまとめ、在宅のケアマネと情報共有することが例示されている。
一方、家族やヘルパーらが服薬支援を行う場合は、▽薬の種類▽服薬のタイミング▽家族が対応できる時間帯▽服薬をやめると病状が急変する可能性がある薬―などの情報を、利用者が退所した際に施設側から担当のケアマネに提供することが望ましいとした。