介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせる「混合介護」について、厚生労働省は、訪問介護とデイサービスを提供する際の運用上のルールをまとめ、都道府県に通知した。訪問介護事業所のサービス提供責任者(サ責)に関しては、業務に支障が出ない範囲で、保険外サービスとの“兼務”を容認する方向性が示されている。
訪問介護サービスで「混合介護」を認める場面として同省は、▽訪問介護の前後に連続して保険外サービスを提供する▽いったん訪問介護を中断した上で、保険外サービスを提供し、その後、訪問介護に戻る―のいずれかを想定し、利用者と同居家族に行う保険外サービスの具体例を通知で示している。
利用者に対しては、▽訪問介護の前後やサービス提供時間の合間に、草むしりやペットの世話を行う▽訪問介護として外出支援をした後、利用者が趣味や娯楽のために立ち寄る場所に同行する▽訪問介護の通院等乗降介助として受診等の手続きを代行し、その後、介護報酬の対象にならない院内介助(2010年4月28日付の厚労省の事務連絡参照)を提供する―の3つの事例を挙げている。
同居家族については、訪問介護の前後やサービス提供時間の合間に、部屋の掃除や買い物を代行することを掲げているが、利用者と同居家族の食事を一緒に作るなど、「訪問介護と保険外サービスを同時一体的に提供することは認めない」としている。
これらの事例は、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション(いずれも介護予防を含む)、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護も対象となる。
■デイ、夜間・深夜の宿泊サービスも
一方、デイサービスについては、利用者へのサービスを中断した上で、「混合介護」として提供を認める保険外サービスとして、▽事業所内での理美容サービス、または健康診断、予防接種もしくは採血(巡回健診等)▽利用者個人の希望で外出する際、保険外サービスとしての個別の同行支援▽物販・移動販売やレンタルサービス▽買い物等代行サービス―の4項目を提示。このうち巡回健診等に関しては、鍼灸や柔道整復などの施術は対象外とし、無資格者によるマッサージも禁じている。
4項目の対象には、通所リハビリ、認知症対応型デイサービス(いずれも介護予防を含む)、地域密着型デイサービスも含まれる。
さらに通知では、事業所がサービスを提供していない休日や夜間などに、職員や設備を活用する保険外サービスの具体例として、▽地域交流会や住民向け説明会などの催し▽夜間や深夜における宿泊サービス―の2つを挙げている。
今回の通知は、政府が昨年6月に閣議決定した規制改革実施計画の一環で、同計画では、▽訪問介護とデイサービスとの組み合せに関するルールの整備▽利用者の自費負担で介護保険と同等のサービスを提供する場合の価格規制の明確化―について、厚労省が9月までに自治体などに周知することになっていた。