NPO法人特養ホームを良くする市民の会は、先ごろ、細川律夫厚生大臣宛に「介護保険施設におけるサービスの質の確保に関する提言」を提出した。
提言では、2010年に特養で起きた殺人事件、人権を無視した介護の実態、虐待事件などを挙げ、「介護保険施設のサービスの質の確保のあり方についてしっかり取り組んでほしい」として、具体的に以下の3つの提言した。
1)施設の「抜き打ち調査」の実施
諸外国では抜き打ち調査を実施する監査や認証、評価が重要な役割を果たしている。日本では監査を予告して行っているが、介護報酬に担保されるサービスの質を確保するために「抜き打ち調査」が実施できる仕組みを構築してほしい。
2)夜間におけるサービスの質の確保
虐待事件は夜間に行われることが多い。職員においては仲間をかばいあい見て見ぬふりをすることがある。夜間の調査もできるような評価や監査のあり方を検討することが急務。
3)「抜き打ち調査」「夜間調査」を実施する事業所に介護報酬の加算を
「施設評価」や「認証」を地域力や市民力を活かして介護施設を守る仕組みを構築する必要がある。それを積極的に受審する介護施設に介護報酬の加算をしてほしい。
提言の中で同会が取り上げた事例は、10月17日に愛知県岡崎市「なのはな苑」で起きた入居者の殺人事件と介護の実態、10月20日に発覚した静岡県三島市「大乗会」経営者による不正、同法人運営の5施設での不当な拘束、2月3日に発覚した香川県さぬき市の「志渡玉浦園」で起きた認知症の入居者9人への虐待事件の3件。