2024年度から始まる第9期介護保険事業計画に向け、財務省はこのほど開いた財政制度等審議会(財政審、財務大臣の諮問機関)の分科会で、現役世代並みの所得がある3割負担の介護保険の利用者の対象範囲の見直しを検討するよう提言した。提言は、財政審が5月にもまとめる建議(意見書)に反映される見通し。
財政審は毎年、春と秋に建議をまとめ、財務大臣に提出することになっており、その内容は政府の骨太方針(経済財政運営の指針)や予算編成に影響力を持つとされる。
昨年春の建議では、一定の所得のある75歳以上の医療費の窓口負担が2割に引き上げられることなどに触れた上で、第9期介護保険事業計画に向け、介護保険の利用者負担の「原則2割化」や2割負担の対象範囲の拡大を検討することが盛り込まれた。
今回の提言で同省は、介護保険制度の持続可能性を高めるため、利用者負担の「原則2割化」や2割負担の対象範囲の拡大の検討を改めて主張するとともに、現役世代と高齢者の均衡を図る観点から、3割負担などの判断基準の見直しを検討するよう要望した。いずれも、第9期介護保険事業計画に向けて結論を得ることを求めている。
■老健などの多床室の室料負担見直しも要望
財務省はまた、介護老人保健施設、介護医療院、介護療養病床(介護療養型医療施設)の多床室の室料負担についても、第9期介護保険事業計画から見直すよう求めた。
特別養護老人ホームの多床室の室料については、2015年度に基本サービス費から除外されており、同省は「居宅と施設の公平性を確保し、どの施設であっても公平な居住費(室料+光熱水費)を求めていく観点」から、残る3つの介護保険施設に対しても、同様の見直しを行うべきとしている。