深刻化する介護人材不足に対応するため、国は専門職をサポートする「介護助手」や「介護補助」の確保に本腰を入れ始めました。その担い手として特に期待されているのが、元気な高齢者(アクティブシニア)です。そこでケアマネジメント・オンラインは朝日新聞社と共同で、ケアマネジャーが考える「アクティブシニアが活躍できる介護の仕事」について、調査を行いました。
■家事や共通の趣味・話題を生かせる業務での活躍に期待
共同調査では、介護の現場でアクティブシニアに期待する具体的な業務を複数回答で尋ねました。
その結果、最も高かったのは「利用者の話し相手・見守り」(89.2%)でした。「レクリエーション補助・趣味活動」に期待するケアマネも79.5%おり、利用者とほぼ同世代で共通の趣味や話題を持っているアクティブシニアならではの特性に、注目し始めているケアマネも多いようです。
「施設の掃除」(81.0%)や「家事援助」(73.3%)、「配膳・下膳」(75.4%)など、日常的な家事の延長線上にある活動でこそ力を発揮してくれると考えるケアマネも多くいました。=グラフ1=
■現場向きの人は…「明るく元気」「コミュ力あり」「多趣味」
介護分野の仕事に向いていると思うアクティブシニアの特徴について、記述式で尋ねた質問では、「明るく元気な人」(居宅介護支援事業所勤務、大阪)や「明るく前向きで、チャレンジ精神が旺盛な方」(居宅介護支援事業所勤務、東京)など、性格が明るければ、十分に活躍できるという声が数多く寄せられました。
また、「井戸端会議ができる方。 柔軟性のある方」(有料老人ホーム勤務、神奈川)や「利用者に寄り添う気持ちが必須。アンガ-マネージメントができる方」(居宅介護支援事業所勤務、北海道)、「人間性があり、傾聴出来る人」(グループホーム勤務、岡山)など、コミュニケーションスキルが高い人は、より活躍できるという意見も。
さらに「その人の持つ資格や経験、趣味が生かせる仕事。レクリエーションの指南やお手伝いをしていただけると、サービスの幅や楽しみが広がると思います」(地域包括支援センター勤務、大阪)や「趣味があったり、書道や生け花など特技的な資格を持っていたりする方」(居宅介護支援事業所、埼玉)のように、自分なりの趣味や特技があれば、介護の現場でも大いに活用できるという声も寄せられました。
■7割超のケアマネ「アクティブシニアは介護の現場で活躍できる」
介護の仕事をしたことがないアクティブシニアが、在宅介護の現場や特別養護老人ホームなどの介護保険施設で働くことができるどうかについては、「できると思う」(「とても思う」と「少し思う」の合計)と答えたケアマネは73.4%を占め、「できるとは思わない」(「あまり思わない」と「全く思わない」の合計、11.2%)を大きく上回りました。=グラフ2=
■アクティブシニアにも「社会参加」や「介護予防」といった効果
さらに介護の現場で働くことでアクティブシニアにどんなメリットがあるかを尋ねた質問では、「社会参加の機会につながる」と答えたケアマネが90.1%を占めました。次いで多かったのは「生きがいにつながる」(74.5%)。「介護予防・フレイル予防につながる」と考えるケアマネも73.9%いました。=グラフ3=
共同調査は3月3日から8日にかけて「ケアマネジメント・オンライン」に登録する約10万人のケアマネジャーに対して任意のアンケートを実施。756人のケアマネジャーから回答を得ました。
※ここでのアクティブシニアは趣味や仕事に取り組む意欲があり活動的な(65~75歳頃)の前期高齢者と定義します。本特集は「令和3年度介護のしごと魅力発信等事業(ターゲット別魅力発信事業)」として実施しています。(実施主体:朝日新聞社・厚生労働省補助事業)