日本介護支援専門員協会(ケアマネ協会)は今年1月、過去の国会答弁書の中にケアマネジャーを「国家資格」と位置付けた資料が存在していることを、ホームページ上で指摘した。しかし、ケアマネの7割は「国家資格」だったとしても、賃上げなどは期待できないと考えていることが、ケアマネジメント・オンラインの調査で分かった。
ケアマネ協会は2003年に閣議決定された国会答弁書の資料の中に、介護支援専門員を「国家資格」と位置付けた資料が存在すると指摘した。
この指摘を踏まえ、ケアマネジメント・オンラインでは2月9日から15日にかけて会員に調査を実施。284人から回答を得た。
「国家資格」だったことが確認されたことで、ケアマネの処遇改善や地位向上は期待できるかどうかを尋ねたところ、「期待できる」(「期待できる」と「やや期待できる」の合計)は29%、「期待できない」(「あまり期待できない」と「期待できない」の合計)は71%となった。=グラフ=
■“国家資格なのに更新研修”に厳しい意見
「期待できない」と答えたケアマネからは、「国家資格と処遇改善は関係ないので」(60代女性、愛知)や「国家資格になって、何が変わるのでしょうか? 何も変わらないと思います」(50代男性、奈良)といった声が寄せられた。
また「国家資格になっても更新制度がなくなるわけではないから」(50代女性、富山)や「更新制度をなくしてもらえたらそれでいいです」(50代男性、三重)のように、更新制度がなくならない以上、国家資格化には期待できないとする声も多かった。
■指摘された資料そのものへの「?」
さらに「間違って含まれていたとしか考えられない」(40代男性、熊本)や「単なるミスの揚げ足取り。その後1回もそのような資料記載はなされていない」(40代男性、鹿児島)のように、指摘された資料そのものに疑問符をつける意見も。
なかには「20年前のことですよね。この期間は何だったのだろう。いまさら期待できない、いや期待していないです」(50代女性、大阪)や「今まで手つかずだったものがすぐ、改善されるとは思わない。これから(ケアマネは)絶滅危惧種となっていくのでないかと思う」(60代女性、北海道)など、あきらめの声を寄せた人もいた。
■今後への期待をにじませるケアマネも
一方、「期待できる」と応えたケアマネの中には「その資料を基に、ケアマネの国家資格化(業務独占)と処遇改善や地位向上を訴えていきましょう!」(40代男性、千葉)や「国家資格か任用資格かで給与が大きく違う」(50代女性、北海道)など、今後への期待をにじませる声を寄せた人もいた。
また、「処遇については期待できないかもしれませんが、世間からのケアマネへの信頼は向上するのではないでしょうか」(50代男性、岩手)や「処遇等は改善されなくても国家資格にしてもらい更新や主任の研修をなくしてほしい」(40代男性、東京)といった声もあった。