「既にケアマネジャーは『国家資格』だった」。今年1月、日本介護支援専門員協会(ケアマネ協会)は、過去の国会答弁書の中に、ケアマネを「国家資格」と位置付けた資料があることを指摘した。長年、国家資格化の実現を求めつづけてきた日本介護支援専門員協会では、この事実をどのように受け止め、どのように対応していくのか―。予防ケアプランの在り方とともに、柴口里則会長に聞いた。
■地域包括の在り方、委員会で検討すべき
―昨年4月の介護報酬改定で、予防ケアプランに「委託連携加算」が創設されました。地域包括支援センターが算定する加算ですが、この点について、どのように受け止められていますか・
今、協会では予防ケアプランの受託状況を調査しているところです。また「委託連携加算」の単位がどのくらい、居宅のケアマネへの報酬として上乗せされているかも調べています。
その影響はさておき、この「地域包括支援センターから受託」という仕組みは、やはり釈然としません。できれば地域包括支援センターが誕生する前と同様、居宅介護支援事業所が直接、要支援者と契約できる仕組みを実現してほしい。
ただし、それを実現するには譲りがたい条件があります。予防ケアプランを最低でも1件あたり6500円ほどの報酬を算定できる単位設定にしていただきたいということです。現状の単位数のままでは、予防ケアプランを受ければ受けるほど、居宅の経営は悪化してしまいます。
いずれにせよ、予防ケアプランだけを検討するのは十分ではないでしょう。地域包括支援センターが誕生して15年あまりが経過したわけですから、その在り方については、委員会を立ち上げて、きちんと検討する場を設けたほうがいいと思います。全世代型社会保障の実現が求められる以上、こうした取り組みは不可欠ではないでしょうか。
―2024年度の介護報酬改定に向けて、検討会を立ち上げるべきということですね。
この点については「24改定までに結論を出す」では、ちょっと時間が足りないかもしれません。もっと先を見据え、腰を据えた議論が必要と思います。
■学生からケアマネになれる仕組みの整備を
―ところで日本介護支援専門員協会では1月5日に、2003年の時点で政府が介護支援専門員(ケアマネジャー)を国家資格として位置付けていたとホームページで指摘しました。
当時の国会での質問に対する答弁に、ケアマネを国家資格の一つと位置付ける表記がありました。政府の閣議決定を経たものですから、この事実は歓迎すべきです。
今後は、看護師や介護福祉士と同様に、高校生や大学生が卒業後、すぐにケアマネとして活躍できる仕組みも必要ではないかと思っています。そのためには資格を得るまでのカリキュラムを整備し、教育の仕組みを整えなければならないでしょう。
ただし協会では、ケアマネが国家資格であるかどうかに関わらず、これからもケアマネジメントの質向上やケアマネの処遇改善に向けた活動に力を注いでいきます。
■補助金対象外は大変遺憾、より強く基本報酬引き上げ求める
―処遇改善といえば、今年2月から9月に支給される「介護職員処遇改善支援補助金」は居宅介護支援のケアマネが対象外となることが決まりました。また10月、「介護職員処遇改善支援補助金」と同程度の賃上げを実施する介護報酬改定でも、居宅介護支援のケアマネは、その恩恵にあずかれない可能性が高まっています。この点についての受け止めと、今後の協会としての取り組みの方向性についてご教示ください。
まず、居宅介護支援のケアマネが「介護職員処遇改善支援補助金」の対象外となったことは、大変、遺憾でした。今回の件も踏まえ、改めて2024年度の介護報酬改定に向けた議論では、居宅介護支援の基本報酬の引き上げをより強く求めていくつもりです。
10月の臨時改定については、まだ決着していませんので、協会としては居宅介護支援のケアマネを対象とするよう、求め続けていきます。以前のインタビューでも言った通り、居宅介護支援のケアマネが介護の賃上げの「蚊帳の外」に置かれるのは、まったく意味がわからないことですから。