今年、ケアマネジャーをめぐる環境や制度は、どのように変化するのか―。1年間の主な予定をまとめた。
■「介護職員処遇改善支援補助金」の交付、開始
介護の現場で働く人の収入増を目指した「介護職員処遇改善支援補助金」(補助金)の交付が始まる。
交付の対象となるのは「介護職員処遇改善加算」(I~III)を算定している事業所で、次の要件を満たした事業所。
・今年2月と3月から実際に賃上げを行っている
・補助金の全額を賃金など引き上げに充てる
・補助金で得られた額の3分の2以上を「基本給」または「決まって毎月支払われる手当」に使用する。(ただし、2月分と3月分は一時金による支給が可能)
補助金は、いったん事業者が受け取る。受け取った補助金をどの職員にどの程度、配分するかについては事業者に任されている。
「介護職員処遇改善加算」を算定できない居宅介護支援事業所のケアマネは、補助金を受け取ることはできない。一方、施設で働くケアマネが受け取れるかどうかは、事業者の裁量次第だ。
■10月に臨時の介護報酬改定
補助金が支給されるのは2月から9月までだが、補助金で実現した賃上げを維持するため、10月には臨時の介護報酬改定が行われる。
臨時の介護報酬改定の具体的な内容については今後、社会保障審議会介護給付費分科会で議論される。ただ、そのおおまかな内容は、2022年度の予算案編成に向けた後藤茂之厚生労働大臣と鈴木俊一財務大臣の折衝の際に示された。その内容によれば、居宅介護支援事業所のケアマネは、10月以降の処遇改善策でも対象外となる見通しだ。
■介護保険法改正に向けた議論開始、ケアプラン有料化も議題に?
24年度の介護保険法改正に向けた議論が始まる。
前回(21年度)の制度改正に向けた社会保障審議会介護保険部会の議論のとりまとめでは、引き続き検討する必要があるテーマの一つとして、「ケアマネジメントへの利用者負担導入」が明示されている。そのため24年度の介護保険法改正に向け、ケアプラン有料化の是非が議論される可能性が高い。
そのほか、24年度の介護保険法改正に向け「介護保険の被保険者範囲の変更」や「軽度者の生活援助サービスなどの地域支援事業への移行」「2割負担・3割負担となる基準の変更」の是非なども議論される見通しだ。
■ケアマネの国家資格化、与党内で検討
与党の一翼を担う公明党は、昨年10月の衆院選の公約でケアマネの国家資格化を掲げた。同党の社会保障制度調査会では今年、ケアマネの国会資格化に向けた議論を行う予定。社会保障制度調査会では国家資格化に向けた対応案をまとめた上で、「日本ケアマネジメント推進議員連盟」を擁する自民党に働きかける方針だ。
■4月に診療報酬改定、全体では0.94%の引き下げ
4月に診療報酬が改定される。薬の公定価格を1.37%引き下げる一方、医師らの技術料や人件費に当たる「本体部分」は0.43%の引き上げとなる。そのため、全体では0.94%の引き下げとなる。改定の詳細な内容は2月にも確定する。
また、今年の通常国会には感染症法の改正案が提出される見通しだ。急激な感染拡大に即応できるよう、国や自治体の権限強化を目指す内容となる見込みだが、現在は第2類相当となっている新型コロナウイルス感染症の法律上の位置づけが変更されるかどうかも注目される。