厚生労働省は8日、居宅介護支援事業所のケアマネジャー(居宅ケアマネ)は来年2月から始まる介護の賃上げの対象外である方針を改めて示した。この方針について、現場の居宅ケアマネからは「ケアマネ不足が深刻化する」や「いつまでケアマネいじめを続けるのか」など、激しい批判が噴出している。
ケアマネジメント・オンラインでは、居宅ケアマネが介護の賃上げの対象から外れる方針である点について緊急アンケートをしたところ、回答した9割余りのケアマネがその方針に反対した。
■仕事は増え続けているのに…
厚労省の方針に反対と答えた居宅ケアマネからは、業務が増え続けているにも関わらず、積極的な処遇改善策が講じられていない点を問題視する声が多く寄せられた。
「コロナウイルスの感染拡大期のマスク配布など、明確に担当が決められない仕事がケアマネに割り当てられる。日常業務を圧迫していても、ほぼボランティア業務に等しいそれらの対応もこなしている。報われない事にやる気を失くす‥」
「研修や法律改正などヘルパーには直接かかわらないことでケアマネばかりが大変なことがどんどん増えているのに、処遇改善も特定処遇改善も居宅介護支援が外される…。理由がわかりません」
「ケアマネ業務は多岐に渡り、就業時間内に収まるものではない。行っている業務と対価はそぐわない。サービス提供責任者より低い対価であることは納得できない」
■既に介護職員の方が高い給与「さらに格差が拡大」
また、既に介護職員の方が居宅ケアマネよりも給与が高くなっているとする声や、今回の施策によって、介護職員と居宅ケアマネの給与格差がさらに拡大することを懸念する声も多かった。
「介護職員は処遇改善加算等で既に給与アップしているが、ケアマネは全く昇給もない。地方では既にケアマネよりも介護職員の方が給与は高い」
「ケアマネジャーは給料が高いと思われているのか、仕事が楽だとおもわれているのかと感じてしまう。今は処遇改善手当により介護職員の方が給与は良いと思われる」
さらに、介護職員との給与格差が拡大した結果、ケアマネをやめる人が増える可能性を指摘する声も複数寄せられた。
「今でさえ、仕事量に賃金が見合っていないということで、ケアマネを辞める方は沢山います。さらに他の介護職との賃金差がつけば、なおさら辞める方は増える」
「ケアマネは特に更新や講習でお金がかかります。それなのに、給料は安くなってしまいケアマネを辞める人が多くなっています」
■ケアマネ不足の深刻化を懸念する声
賃上げの対象外となったことで、新たな担い手がますます減り、ケアマネ不足が深刻化すると指摘する声も数多く寄せられた。
「給料は安く、仕事量は重労働。世帯を担っていこうと思うとケアマネでは生活に余裕がない為、なり手がいないです。ケアマネこそ処遇改善すべきだと思います」
「介護福祉士を取得して5年後に受けられる資格であるにもかかわらず、収入面で介護職ばかりが優遇されるとなれば、ケアマネジャーを目指す人がいなくなる」
「ケアマネの賃金は介護職よりも下になり、ケアマネ不足が深刻化しています。私の知っている利用者は1年もの間ケアマネが見つけられなかったと、半ば諦めていました」
「福祉職の中でも、ケアマネは超絶人気が無い職種と、肌で感じて居ます。その理由は、他職種の方が給料が良いから。このままでは、ケアマネをやる人、やれる人がいなくなってしまう」
「介護の人たちはケアマネ業務につきたくない、ケアマネは介護に戻りたい…。ケアマネ不足に陥る」
「ケアマネいじめはいつまで続くのでしょうか?だから資格があっても、就労しない人が多いと思う」
■賛成派からは「やむを得ない」との声も
一方、厚労省の方針に賛成すると答えたケアマネからは、次のような声が寄せられた。
「ケアマネジャーの給与も引き上げるべきだが、疲弊している介護現場の事を考えてのことだと思うから仕方がないと考える」
「介護職不足と、コロナ対応というコンセプトなので、仕方ない。 ケアマネの待遇は低いと思うが、きちんと成果に対する報酬という方法で改善した方が良い」