ヤングケアラーを支援するための施策などを検討していた厚生労働省と文部科学省のプロジェクトチームがこのほど、報告書を取りまとめた。報告書には、ヤングケアラーの負担を解消・軽減するために必要な取り組みとして、利用者だけでなく世帯全体を支援する視点でケアプラン作成を行うことなどが盛り込まれている。
昨年12月から今年2月にかけて行われたヤングケアラーに関する全国調査では、家族の世話をしている子どもの割合は中学2年生で 5.7 %、全日制高校2年生で 4.1 %とする結果が示された。また、家族の 世話 を「ほぼ毎日」している 中高生や、一日平均 7 時間以上 世話を している中高生 が一定程度いることもわかった。さらに、ケアマネジメント・オンラインと毎日新聞が昨年6月に実施した共同調査では、半数近くのケアマネがヤングケアラーに関する問題を認識していないなどの結果も示された。
こうした状況を踏まえ、厚労省と文科省は今年3月にプロジェクトチームを発足。プロジェクトチームは今月、報告書を取りまとめた。
報告書では、厚労省と文科省が取り組むべき施策として「ヤングケアラーの早期発見・早期把握」や「社会的認知度の向上」などが示された。
ケアマネに関わる提言としては、「世帯全体を支援する視点を持ったケアプランの作成」と「医療、介護、福祉等の関係機関や専門職員 を対象にした研修の推進」が盛り込まれている。
このうち、「世帯全体を支援する視点を持ったケアプランの作成」では、福祉機関や介護の専門職が、ヤングケアラーによる支援を前提としたサービス利用調整を行っているケースがあることを特に問題視。 「子どもを『介護力』とすることを前提とせず、 居宅サービス等の利用について十分配意する など、ヤングケアラーがケアする場合のその家族に対するアセスメントの留意点等について 地方自治体 や関係団体に周知を行う」としている。
また、「医療、介護、福祉等の関係機関や専門職員 を対象にした研修の推進」では、ヤングケアラーの概念や配慮すべき事項などを学べる専門職向けの研修を、地方自治体主導で推進することを提言している。