日本介護支援専門員協会(ケアマネ協会)は、居宅介護支援への利用者負担導入に改めて反対する声明を発表した。先月の財務省の財政制度等審議会・財政制度分科会で、利用者負担導入の必要性が指摘されたことを踏まえたもの。反対の理由として、他の居宅サービスとの役割の違いなどを挙げている。
4月15日の財政制度等審議会・財政制度分科会では、居宅介護支援について「サービス利用が定着し、他のサービスでは利用者負担があることを踏まえれば、利用者負担を導入することが自然」との見解が示された。また、負担導入で利用者がケアプランに関心を持てば、ケアマネジャーのサービスのチェックと質の向上にも資するという見解も示されている。
一方、ケアマネ協会の声明では、財務省側が居宅介護支援と他の介護サービスを、同列と位置づけて利用者負担の導入を求めている点を問題視。さまざまな社会資源を効果的に組み合わせ、ケアマネジメントを行う居宅介護支援と、特定のサービスを提供する他の居宅サービスとでは、「支援対象範囲や果たすべき役割が異なる」ことから、同じ視点で利用者負担を議論すべきではないとした。
利用者負担導入がケアマネの質向上につながるとする指摘については、過去の厚生労働省の調査で、費用はなくてもほとんどの利用者がサービスや事業所の選択を行っているという結果が出たことから、「(国による)調査結果を軽視し、現実と乖離している」と断じた。なお、ケアマネの業務の質のチェックについては、保険者機能の充実などで実現すべきとしている。
また、ケアマネ協会の声明では、居宅サービスの受給額が区分支給限度基準額を大きく下回っている点について、現場のケアマネが「過不足ない支援を行っている証左」とした。それでも利用者負担が導入された場合、「過度に特定のサービスに依存するものも出てくる可能性がある」と警鐘を鳴らした。
■居宅介護支援は「地域に必要不可欠な社会インフラ」
さらに、住民からの相談対応や介護保険以外の手続き、申請代行など、本来は公的機関が果たす役割を担っているケアマネが多い点も言及。「既に居宅介護支援は単なる介護保険の1つのサービスとして捉えるものではなく、地域にとって 必要不可欠な社会インフラとして存在し、保険者の業務の一端を担っている」と主張している。