厚生労働省は9日の社会保障審議会介護給付費分科会で、居宅介護支援事業者を事業所単位で抽出する新たなケアプランの点検・検証の仕組みについて、来年10月から開始する方針を明らかにした。
一昨年秋、生活援助サービスの利用回数が国の基準を上回るケアプランの届け出が義務化されたが、財務省は先月、「届け出を避けるため、訪問介護の『生活援助サービス』から『身体介護サービス』への振替が指摘されている」と指摘。身体介護と合わせた利用回数を対象とするなど、制度の改善を求めた。
新たな仕組みは、区分支給限度基準額の利用割合が高く、利用するサービスの大部分を訪問介護が占めるケアプランを作成している事業所を抽出し、丸ごと点検・検証するというもので、財務省側の意向を一部反映させた格好だ。
厚労省はまた、一部のサービス付き高齢者向け住宅で不適切な介護保険サービスが提供されているとの指摘を踏まえ、同じサ高住内で区分支給限度基準額の利用割合が高い利用者が多い場合は、併設する介護サービス事業所を特定するとともに、そのケアプランを作成した居宅介護支援事業者を事業所単位で抽出し、点検・検証を行う方針も併せて示した。こちらも来年10月から実施する見通し。
一方、生活援助サービスの利用回数が多いケアプランの届け出については、ケアマネジャーや保険者の事務負担にも配慮し、ケアプランの検証の仕方や届け出の頻度を見直す。
現行制度では、ケアプランの検証は、主に医療・福祉の専門家が集まる地域ケア会議で行うことになっているが、行政職員やリハビリ専門職を派遣する形で行うサービス担当者会議などでの検証を認めるとともに、検証されたケアプランの利用者に関しては、その後、生活援助サービスの基準を上回ったとしても、ケアプランの届け出を1年猶予する。
同分科会では来週中にも、来年春の介護報酬改定に向けた審議報告案を取りまとめる見通しで、改定をめぐる議論は最終局面を迎えている。