来年春の介護報酬改定に向け、厚生労働省は「サービス利用なしの支援」を行ったケアマネジャーも報酬を算定できる仕組みの導入を検討している。11月26日の社会保障審議会介護給付費分科会で厚労省は、特に利用者の死亡によって「サービス利用なしの支援」が生じてしまったケースについて、基本報酬の請求を可能とする案を示した。
昨年度、厚労省が実施した調査では、「情報提供や相談、ケアプラン作成、サービス調整などを行ったが給付管理に至らなかったケース」が1件でもあったケアマネは43.3%いた。
この状況を踏まえ厚労省は10月30日、「介護保険サービス利用を前提に必要なケアマネジメントの対応を行ったが、利用者の事情で、サービス利用につながらなかった場合」でも、介護報酬を得られるよう検討する方針を提示。続いて11月26日には、サービス利用なしの支援の中でも、「利用者の死亡によりサービス利用につながらなかった場合等」について、基本報酬を請求できるようにすべきとする案を示した。さらに基本報酬を算定できるのは、モニタリングやサービス担当者会議を行うなど、「介護保険サービスが提供されたものと同等に取り扱うことができるケース」とする案も示した。
同分科会の委員から、強い反対意見は出なかった。厚労省の提案は、来年春の介護報酬改定にあわせて実現する見通しだ。
■「業務外の緊急対応で実費請求」は、導入見送り
また、厚労省は10月30日の同分科会で、「ケアマネジメント業務以外で緊急対応をした場合、実費を請求できる仕組みの導入」の是非について、議論を求めていた。しかし、同分科会の委員から、反対意見が相次いだこともあり、11月26日の同分科会では、事実上、その導入を見送る方針を示した。