厚生労働者省は、集合住宅の住人にデイサービスなどを提供する際に適用される減算(同一建物減算)と区分支給限度基準額(限度額)について、基準を変更する方針を示した。同一建物減算の適用があった場合でも、限度額については、減算適用前の単位数で管理することなどが示されている。既に訪問介護などでは導入されている仕組みで、サービス利用の公平性を維持することが目的。9日の社会保障審議会介護給付費分科会で提示した。委員から反対意見はなかった。
サービス付き高齢者向け住宅などに併設・隣接するデイサービスや小規模多機能型居宅介護などの事業所が、その施設や集合住宅の利用者にサービスを提供する場合、同一建物減算の対象となり、介護報酬は一部カットされる。
現在の制度では、同一建物減算を受けたデイサービスなどの利用者については、カットされた単位数で限度額の管理が行われる。その結果、同一建物減算を受けたサービスを使っている人は、そうでないサービスを使っている人に比べて、より多くの介護保険サービスを使うことが可能になる。
この課題を踏まえ、2018年度の介護報酬改定では、限度額について判定する際、減算される前の単位数を用いる仕組みが訪問介護に導入された。
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今回、厚労省は、この仕組みをデイサービスなどの通所系サービスや小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護など、同一建物減算の対象となる他のサービスにも適用する方針を示した。具体的には、以下のサービスへの適用が想定されている。
デイサービス
通所リハビリテーション
認知症対応型通所介護
小規模多機能型居宅介護
看護小規模多機能型居宅介護
■大規模デイなど、限度額は通常型の単位数で
また厚労省は、規模が大きなデイサービスや通所リハビリを使う人の限度額の管理について、基準を変更する方針も示した。
規模の大きなデイサービスや通所リハビリの単位数は、通常規模に比べると低く抑えられている。その結果、規模の大きなデイサービスや通所リハビリを使う人の方が、通常規模の事業所のサービスを使う人に比べて、より多くのサービスを使うことが可能になる。
厚労省は、この課題を解決するため、規模の大きなデイサービスや通所リハビリを使う人の限度額については、通常規模の単位数で管理する方針を示した。この方針についても、介護給付費分科会の委員から反対意見は出なかった。