厚生労働省は22日、医療機関などから退院・退所したばかりの人が、訪問看護や訪問リハビリを十分に活用できるよう、制度改正に乗り出す方針を示した。同日の社会保障審議会介護給付費分科会で提示した。在宅療養へのスムーズな移行を支援することが狙い。この日の同分科会では強い反対意見はなく、来年春の介護報酬改定で、厚労省の方針にのっとった制度改正が行われる見通しだ。
退院・退所の当日、介護保険による訪問看護を利用できるのは、気管切開をしている患者など、「特別管理加算」の対象となる人に限られる。しかし、独居の高齢者や認知症の高齢者のさらなる増加が見込まれる中、この制限が退院した人の在宅療養の妨げになっているとする指摘が同分科会の委員から上がっていた。
訪問リハビリについては週に6回までの利用が可能だが、スムーズに在宅療養を開始するためにも、退院・退所直後には、利用できる回数を増やすべきとの要望が関係団体から出ていた。
(社会保障審議会介護給付費分科会)
こうした状況を踏まえ、厚労省は医療機関などから退院・退所したばかりの人が訪問看護や訪問リハビリを使う際の仕組みについて、次のように改正する案を介護給付費分科会に示した。
(1)退院当日の訪問看護については、現状でも利用可能な「特別管理加算」の対象者以外でも利用可能とする。ただし、一定の条件は設ける
(2)退院・退所直後のリハビリの充実を図る観点から、診療報酬の例も参考にしながら、訪問リハビリの上限回数を見直す
(2)の診療報酬の例とは、「在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料」を指す。この指導管理料は、退院から3カ月以内の患者が、週12回まで利用できることから、訪問リハビリの利用の上限も、同様の条件に変更されると思われる。