ケアマネジャーが利用者に付き添って医療機関に出向き、医師に状況を説明するなど何らかの対応をした場合、介護報酬の算定につなげるべき―。来年春の介護報酬改定に向けた議論が続く社会保障審議会介護給付費分科会では、ケアマネの通院同行を報酬で評価する案が浮上している。
■半数余りのケアマネが通院同行を実施
現行制度では、ケアマネの通院同行は「ケアマネジメントの範囲に含まれるかどうか、明確になっていない」(厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課)。
しかし、そんな状況であっても利用者の通院に付き添うケアマネは少なくない。19日の同分科会に厚労省が示したデータでは、ケアマネの53.3%が利用者の通院に同行していた。通院同行する理由では、「利用者が必要な情報を医師に説明できないため」(73.1%)や「医師からの指導を利用者が理解できないため」(64.4%)が多かった。=グラフ=
こうした現場の実情を踏まえ、19日の同分科会では、江澤和彦委員(日本医師会常任理事)らが、ケアマネの通院同行を介護報酬で評価できる仕組みを設けるべきと提案した。
■訪問介護の「通院等乗降介助」の範囲拡大を求める声も
19日の同分科会では、訪問介護の「通院等乗降介助」の対象拡大も議題に上った。
現行制度では、患者が病院から病院に移る場合や、ショートステイなど介護事業所から病院へ移る場合、「通院等乗降介助」の対象にはならず、介護報酬を算定できない。
この点については、総務省から「合理性がない」「法制度の見直しを含めた検討をすべき」と見解が示されている。同分科会でも、小泉立志委員(全国老人福祉施設協議会理事)や今井準幸委員(民間介護事業推進委員会代表委員)らが対象拡大の必要性を訴えた。
また、訪問介護については、厚労省がヘルパーの有効求人倍率が15倍を超えているなどのデータを提示。その上で、ヘルパーの処遇改善をさらに進めることや、対面以外の手段をできる限り活用することなどを前提に、次の介護報酬改定に向けた議論を進める方針を示した。