学校などに通いながら大人が担うような介護に取り組むヤングケアラー。中には、介護を続けるため、進学や就職をあきらめる人もいる。しかし、高齢者向けのサービスを担うケアマネジャーは、その実情を把握しても、積極的な支援に乗り出すのは難しい―。ケアマネジメント・オンラインなどの共同調査で、そんな実態が浮かび上がった。
ケアマネジメント・オンラインと毎日新聞の共同調査では、「ケアマネの6人に1人が、担当する家庭に大人並みの介護を担うヤングケアラーがいる」などの結果が示された。
ヤングケアラーがいる家庭を担当したケアマネ215人に、何らかの対応をしたことがあるかどうかを尋ねたところ、「対応したことはない」(51.6%)と「対応したことがある」(48.4%)が、ほぼ拮抗。ケアマネが支援に乗り出すのは決して簡単ではないことをうかがわせる結果となった。=グラフ1=
ヤングケアラーに関する課題について自由記述を求めたところ、「私たちも経済的支援や相談場所などの受け皿がわからない」や「ケアマネは家族間のプライベートな問題に立ち入ることには消極的。時間的な余裕もない」といった声が寄せられた。また「保健センター、地域包括支援センター、福祉事務所などが連携していく必要がある。現状では相談しても、部署をたらい回しにされてしまっている」など、各種の支援制度のはざまで苦しむヤングケアラーの実情が垣間見える声もあった。
社会的な支援体制が十分に整っているかどうかの質問では、「できていない」が96.4%に達した。
■新型コロナが与えた影響は…
新型コロナウイルスの感染拡大がヤングケアラーにもたらした影響を複数回答で尋ねた質問では「家族のケアによる疲労、ストレスが増える」が82.5%で最も多かった。次いで多かったのは「家族同士でイライラしたり、ぶつかったりすることが増える」(72.2%)。「休校や外出自粛で孤立を深める」(71.1%)や「家族のケアに追われ、学校のオンライン授業や課題に対応できなくなる」(47.6%)といった問題を心配する声もあった。影響は出ていないと考えるケアマネは2.3%にとどまった。=グラフ2=