児童や生徒、学生、あるいは働き始めたばかりの若者が、介護や家族の世話などに直面するヤングケアラー問題。だが、ケアマネジャーの半数近くは、この問題そのものを知らないことが、ケアマネジメント・オンラインと毎日新聞社の共同調査で分かった。調査では、専門職と同じような介護を担うヤングケアラーが一定数いることも明らかになった上、介護が子どもの心身や学業、進路に悪影響を及ぼしている実情も示された。
共同調査は6月5日から15日に実施。ケアマネジメント・オンラインの会員1303人から回答を得た。
ヤングケアラー問題について知っているかどうかを尋ねた質問では、「知っている」は55.8%、「知らない」は44.2%となり、半数近くのケアマネがこの問題そのものを知らなかった。
■「義務教育のころから家族のケア」4割
利用者の家庭に大人が担うようなケアに関わっている子どもがいるかどうかの質問に対しては、16.5%が「いる」と回答。
「いる」と答えたケアマネに、子どもの年齢などを尋ねた質問(※)では、「高校生」が40.9%と最多で、以下は「中学生」が21.9%、「18歳以上」が20.0%、「小学生」が15.8%となった。「小学生未満」も1.4%あった。
調査で把握したヤングケアラーのおよそ4割が、義務教育中か、それ以前の段階から家族のケアに取り組んでいたことになる。
■専門的ケアに取り組む例も
ケアしていた相手を複数回答で尋ねたところ、最も多かったのは「祖母」(47.0%)。次いで多かったのが「母親」(36.3%)で、以下は「祖父」(22.8%)、「父親」(13.0%)などの順となった。
ケアの対象者の状態では「認知症」(41.9%)が最も多く、以下は「高齢で身体の機能が低下(要介護・要支援)」(38.6%)、「身体障害」(28.8%)、「がんなどの病気」(17.7%)、「精神疾患」(14.9%)などが続いた。
ヤングケアラーが取り組む具体的なケアの内容では、「料理や掃除などの家事」や「着替えや食事などの身の回りの世話」「買い物や家の中の修理、重いものを運ぶ」などが半数を超えた。中には「トイレや入浴介助」「徘徊の見守り」「たんの吸引や服薬管理などの医療的な世話」など、本来は介護や医療の専門職が担うべきケアに取り組んでいるとする回答も一定数あった。=グラフ=
■就職や進学にも深刻な影響も
さらに、ヤングケアラーの生活に出ている支障については「学校を休みがちになっている」「部活などの課外活動ができない」「情緒が不安定」をあげるケアマネが多かった。中には「進学を断念した」や「就職できなかった」といった回答もあった。
※複数いた場合は、最も印象に残る児童・生徒の年齢などを回答