国は6月、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、介護保険サービスを利用している人に布製マスクを改めて配布することを決めた。訪問系サービスや通所系サービスの利用者には、ケアマネジャーを通して届けている。ところがケアマネの4人に1人が、マスクを届けない場合もあったことが、ケアマネジメント・オンラインの調査で分かった。「いまさら必要ない」と受け取りを拒否する利用者が多いことが主な理由だが、中には、7月中旬になっても配るべきマスクが届いていないというケアマネも一定数いた。
調査はケマネジメント・オンラインの会員を対象に7月17日から21日にかけて実施。395人から回答を得た。
調査では国が6月に再配布を決めた布製マスクについて、どのように配ったかを尋ねた。その結果、最も多かったのが「担当する利用者全員に配布した」の72.7%だった。次いで多かったのは「担当する利用者のうち、希望者には配布した」(15.4%)。この15.4%のケアマネは、希望しない利用者にはマスクを届けなかったことになる。「配布していない」は11.9%だった。
27.3%のケアマネが、利用者にマスクを届けていないことになる。
マスクを届けなかったケアマネにその理由を聞いたところ、最も多かったのは、「利用者や家族が『マスクはある。もう必要ない』と受け取りを拒否した」(46.3%)。次いで多かったのは「配布すべきマスクが届いていない」(34.3%)だった。「利用者や家族が『感染リスクが高まるので、手渡しも郵送も必要ない』と受け取りを拒否した」も8.3%あった。=グラフ=
一方、マスクを届けた方法を複数回答で尋ねたところ、最も多かったのが「手渡し」の84.2%で、以下は「郵便受けに入れる」(53.4%)、「家族など代理の人に配布」(25.0%)、「郵送」(19.0%)、「玄関などに置いておく」(8.9%)などの順だった。
■不衛生なマスクが届いたとの声も…
布マスクの配布に関して印象に残った利用者やその家族とのエピソードを自由回答で聞いたところ、「笑われた、『誰がほしいの?」と…」や「犬にあげると言われた」「『サイズも合わないし、要らない』と笑って断られる事があまりに多い」など、いまひとつだった評判について記述した人が多かった。
中には「半数近くが黄ばんでおりました」や「髪の毛やゴミが入っていた」など、不衛生な状態で送られてきたとするコメントもあった。さらに「できるだけ移動や人との接触を控える時期にケアマネに配らせること自体に衝撃を受けました」など、配布そのものを問題視するケアマネも複数いた。
その一方、「高齢者からは喜ばれた。布の方が、なじみがあるとのこと」など、利用者が喜んでいるとする声も多く寄せられた。