新型コロナウイルスの感染拡大が、在宅の高齢者の薬の飲み方にも影を落とし始めている。早い段階で緊急事態宣言が出された東京や大阪などでは、ケアマネジャーの10人に1人が、薬を飲まなくなった利用者を担当していることがケアマネジメント・オンラインの調査で明らかになった。特に糖尿病や高血圧などの生活習慣病の利用者に、薬を中断したり受診できなかったりする人が多いことも分かった。
ケアマネジメント・オンラインでは7月3日から7日かけて、会員にアンケート調査を実施。759人から回答を得た。このうち東京のケアマネは86人、4月7日に緊急事態宣言が発令された7都府県(東京、千葉、神奈川、埼玉、大阪、兵庫、福岡)のケアマネは379人だった。
新型コロナウイルスの影響で服薬を中断した利用者がいるかどうかを尋ねた質問では、6.5%のケアマネが「いる」と回答。「いる」と答えたケアマネを地域別で比較したところ、7都府県では9.8%、特に感染者が多い東京に限定すると12.8%となった。一方、7都府県以外のケアマネでは3.2%にとどまっており、感染拡大が深刻な地域であるほど、薬を飲むのをやめてしまう利用者が多い傾向が浮き彫りになっている。=グラフ=
■服薬や受診をやめやすいのは「生活習慣病」や「認知症」
東京のケアマネに服薬を中断した利用者が抱えている疾患や症状について尋ねたところ、最も多かったのは「生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質異常症)」の9.3%だった。次いで多かったのは「認知症」(7.0%)で、以下は「痛みの問題」(4.7%)、「心の病気」「睡眠の問題」(いずれも3.5%)などの順となった。また、新型コロナウイルスの影響で医療機関を受診できなかった利用者がいたかどうかを尋ねたところ、59.3%が「いた」と回答。治療が中断した疾患や症状で最も多かったのは、やはり「生活習慣病」で、次いで多かったのは「認知症」だった。