「この戦いは長期戦を覚悟していただく必要がある」-。3月28日、安倍晋三首相は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための取り組みに対し、国民に理解と協力を求めた。しかし、重症化するリスクが高い高齢者と向き合うケアマネジャーにとって、新型コロナウイルスへの対応が長期化することは大きな負担となる。この長期戦を乗り切るにあたり、約6割のケアマネは衛生用品の不足に悩まされていることがケアマネジメント・オンラインの調査で分かった。
ケアマネジメント・オンラインでは3月31日から4月2日まで、会員に調査を実施。113人から回答を得た。
利用者へのケアマネジメント業務に加え、感染拡大の防止のための取り組みも続けていくために、最も不足しているものについて尋ねたところ、58%のケアマネが「マスクや消毒液など衛生用品」を挙げた。次いで多かったのは、配食や買い物など「介護保険サービス以外の、日常生活を支えるためのサービス」(27%)。介護保険サービスが足りないと感じている人は2%だった。「その他」は12%、「特になし」は1%だった。=グラフ=
■毎朝のマスク行列、「感染拡大につながる」
「衛生用品」が不足していると答えたケアマネからは、次のような声が寄せられた。
「毎朝ドラッグストアに並んでマスクを買いに行っています。お年寄りから子供まで40~50人くらい並びますが、逆に感染拡大につながるのでは」(岐阜、50代女性)
「マスクは区の備蓄品の支給や洗えるマスクなどでどうにかなっているが、消毒液に関しては見通しが立たず不安です」(東京、同)
「体温計とかもないですね」(神奈川、40代男性)
■「買い物できないと命にかかわる」
「介護保険サービス以外の、日常生活を支えるためのサービス」が足りていないというケアマネからは、次のような声が上がった。
「飲食業で困ってらっしゃる事業所さんがいる。今こそ国は補助を出し、配食や配達などに食材を転用できるよう柔軟に指導したらどうか?」(鹿児島、40代男性)
「食料品などの買い物ができないと命に関わる」(愛知、同)
「デイの代わりにヘルパーなどを利用しろ、なんて無理」(岩手、50代男性)
「支援している人にも感染の恐れがあるため慢性的な人不足に拍車が掛かると思う」(大阪、30代男性)
■「危機意識こそが足りない」との指摘も
「その他」を選んだケアマネからは、「福祉職が安心できる情報」(埼玉、50代女性)が足りないとする声が上がった。また「厚生労働省・都道府県・市町村の居宅介護支援への理解と支援」(福岡、40代男性)、「行政の強力なバックアップ」(福岡、40代女性)のように、公的な支援のさらなる充実こそが不可欠という意見も寄せられた。さらに「上司の危機感がもっとも不足している」(三重、同)や「国民の意識」(兵庫、30代男性)など、サービスや物資よりも危機意識が欠けている人がいることを問題とするケアマネもいた。