新型コロナウイルスの感染拡大を受け、厚生労働省は、施設や居宅サービス事業所の職員に出勤前の検温を促し、37.5度以上の発熱などがある場合は出勤しないことを徹底するよう、自治体や関係団体を通じて事業者側に要請している。
24日付で行った事務連絡で同省は、過去に発熱があった職員についても、「解熱後24時間以上が経過し、呼吸器症状が改善傾向となるまでは同様の取り扱いとする」とし、無理に出勤させないよう要請。症状がある職員に対しては、管理者に報告することとしている。
物品などの受け渡しで出入りする業者についても、玄関などの限られた場所で対応することが望ましいとし、入館時の検温で37.5度以上の発熱が確認された場合は、立ち入りを断るよう求めている。
さらに家族らの面会についても、「感染経路の遮断という観点で言えば、可能な限り、緊急でやむを得ない場合を除き、制限することが望ましい」とし、体温を測定した結果、発熱が確認された場合は面会を断ることとしている。
■感染疑い、担当職員は可能な限り分けること
利用者への対応については、高齢者や基礎疾患(糖尿病や心不全、呼吸器疾患)を抱える人、または妊婦で、37.5度以上の発熱や呼吸器症状が2日以上、それ以外の利用者については4日以上続いた場合、保健所などに設置されている「帰国者・接触者相談センター」に電話して指示を受けることとしている。
また、症状が長引いた場合や、医療機関の診断結果が確定するまでの間の留意点として、▽感染の疑いがある利用者は原則個室に移す▽個室が足りない場合は同じ症状の人を同室とする▽その利用者にケアや処置をする職員は、サージカルマスクを着用する―ことなどを挙げている。
さらに、感染の疑いのある利用者と他の利用者の介護などを行う際は、「可能な限り、担当職員を分けて対応すること」とした。
■風邪の症状で出勤する?休む?
発熱などの症状がある職員を休ませ、感染拡大を防ぐことが厚労省の狙いだが、多くの利用者を抱えるケアマネジャーは、医療機関や介護サービス事業者との日程調整が困難であるなど、やむを得ず働かなければならないケースもある。特に一人ケアマネ事業所では、他の職員に代わってもらうこともできないため、対応が難しい。
今回の事務連絡に先立ち(※編注)、ケアマネジメント・オンラインは、会員のケアマネを対象とした緊急アンケートを実施。風邪の症状がある場合に出勤するかどうか尋ねたところ、「発熱があれば休む」が54%で最も多く、次いで「休む」が17%で続いた。一方、「出勤するが、外出はしない(内勤のみ)」(15%)と「出勤し、通常通り仕事をする」(8%)と回答したケアマネもいた=グラフ=。
「休む」を選択したケアマネからは、「風邪をひいているのに訪問するケアマネは迷惑だろうし、『日程調整が難しいから出てこい』と言う業者がいたらナンセンス」(鹿児島、40代男性)、「自分だけではない。他者に悪影響を及ぼすリスクは積極的に避ける」(長野、50代男性)など、利用者や同僚への影響を懸念する声が多かった。
また、「発熱があれば休む」と回答したケアマネからは、「勤め先が病院なので、(仕事の前に)先に受診し医師の指示を仰いでいます。感染症の発熱でなければ出勤することが多いです」(徳島、50代女性)、「会社からも発熱時は休むように指導されていますが、仕事の予定が入っていて、症状が大したことなければ仕事します」(岩手、50代男性)といった意見もあった。
一方、「内勤のみ」を選んだケアマネは、「書類上の仕事や電話対応ができる状態であれば出勤します」(東京、60代女性)、「休んだとしても調整等が必要になり、ほぼ呼び出される」(神奈川、50代女性)とコメント。「出勤し、通常通り仕事をする」と回答した30代の男性(埼玉)からは「代わりがいないため休めません」との悲痛な声も聞こえてきた。
※アンケートは19~25日に行われたため、厚労省の事務連絡の前に回答したケアマネが多い点に留意する必要がある。