「デジタルケアマネジメント」が質向上のカギ―石山麗子氏が講演

昨年春、実践ケアマネジメント学の修士課程を日本で初めて開講した国際医療福祉大大学院の石山麗子教授は13日、「ケアマネジメントの未来」をテーマに東京都内で講演した。石山教授は、テクノロジーの活用でケアマネジメント全体の質を高めるためには、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット化)などを一体的に活用した「デジタルケアマネジメント」が必要だとし、その実現に向け「ケアマネジャー自身も変化していく必要がある」と述べた。


ケアマネの変化の必要性にも言及した石山教授

団塊の世代が全員75歳以上を迎える2025年に向け、国はこれまで、地域包括ケアシステムの構築を進めてきた。だが、ここ数年は、生産年齢人口が急速に減る2040年頃を見据えており、厚生労働省が昨年まとめた社会保障の改革プランなどでも、こうした方向性が打ち出されている。

こうした状況を踏まえ、石山教授は「捉える時間軸の射程が変わってきた」と指摘。その上で「(社会保障の)インフラの多くは『人生65歳用』になっている。これを『100年時代バージョン』に変えていかなければならない」とし、新たな改革の必要性を示した。

■プランAIは「限定的な研究」

ケアマネジメントの質を向上させるため、国は科学的なケアプランの実用化を目指しているが、石山教授は現行のケアプランAIについて、「第2表のある項目に着目して開発をしている、かなり限定的な研究であることを押さえておく必要がある。まだ開発の最初の段階だ」と指摘した。

その一方で、「(ケアプランだけでなく)ケアマネジメント全体をカバーする視点を持った(AIの)開発が必要になってくる」とし、AIやIoT、ICTなどの技術を掛け合わせた「デジタルケアマネジメント」の必要性を強調した。

科学的な根拠に基づくケア理論を構築した上で、その教育を受けたケアマネの帳票や介護サービス事業者とのやり取りの記録、利用者の暮らしの情報などを全てデジタル化し、AIに学習させるというもので、「ケアマネジメントの全ての流れにデジタル化されたものが入ってくると、おそらく、業務の効率化や質の向上は可能になると思う」と述べた。

「デジタルケアマネジメント」の実現に向けては、「ケアマネ自身も変化していく必要がある」とし、▽記録のデジタル化の推進▽利用者の状態像の正確な記録▽ケアマネ間で異なる専門用語の統一▽ケアプラン点検などの“ローカルルール”解消▽利用者への倫理的な配慮―について、ケアマネへの期待感を示した。

状態像の記録に関しては、「年齢や疾患が違っていても、『安心して在宅生活が継続できるよう…』と書かれているものが非常に多い。個別化を狙っているはずなのに、記録が紋切り型になっている」などと指摘し、AIが正しく識別できるような記載を求めた。

■AI時代は「尊厳を忘れるな」

今後のケアマネとAIとの関係性について、石山教授は「ケアマネの業務の補助として開発をしていくのか、それともケアマネに代わる機能として開発をしていくのか、これは大きな違いだ」とし、「仮に業務補助として(AIを)育てていくとしても、活用目的をしっかりしておかなければならない」と語った。

また、AIやIoT、介護ロボットなどが社会に浸透した場合、「(ケアマネは)尊厳を絶対に忘れてはいけない」と強調し、「それを(利用者が)持ちながら、調和していけるようなマネジメント。人間同士の価値の醸成から、今後は人間、機械、地域を含んだ全体の調和を図る技術が、ケアマネに求められてくる」と展望した。

その上で「ケアマネが視野を広く、時間軸も長く持ち、どこまで覚悟を持ってやっていけるのか。どうやって自分たちでその扉を開いていくのか。それによってケアマネジメントの未来、ケアマネの未来がどうなるかが変わっていくと思う」と述べた。

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