新型コロナウイルスによる肺炎の拡大などを受け、居宅介護支援事業所や介護保険施設など、ケアマネジャーの職場でも感染症予防の取り組みが強化されている。ケアマネジメント・オンラインが会員に実施したアンケート調査によると、何らかの感染症対策を講じている事業所や施設は約8割近くに達した。しかし、厚生労働省が作成・公表している感染症対策マニュアルを周知している事業所や施設は4カ所に1カ所にとどまった。
昨年12月以降、中国を中心に新型コロナウイルスの感染者が増え続けている。今月に入り、中国では感染者が3万人を超えた。日本国内でも感染者が増加している上、インフルエンザも流行している。
ケアマネジメント・オンラインでは1月27日から2月6日にかけて会員にアンケート調査を実施。171人のケアマネから回答を得た。
所属する事業所の感染症対策について尋ねたところ、「咳エチケットや手洗いなどを励行している。消毒用の薬剤を常備している」が52%で最多となった。次いで多かったのは「咳エチケットや手洗いなどを励行している。消毒用の薬剤を常備している。厚労省の感染対策マニュアルを周知徹底している」の25%。咳エチケットや手洗いなどに加え、積極的な対策を講じている事業所や施設が8割近くに達した。
「咳エチケットや手洗いなどを励行している」は17%、「なにもしていない」は6%だった。=グラフ=
■マスク常用、面会制限…
対策を講じている事業所や施設のケアマネからは、「訪問から帰った時は必ず手洗いを徹底している。マスクは常用。訪問先でもほとんど取らない。利用者様にも手洗いとマスク着用を勧める」(徳島、50代女性)や「職員にはマスクを配布し、利用者さん用には、必要に応じて渡せるよう1枚ずつ袋に入ったマスクを持たせています」(大阪、50代男性)など、マスクの着用を徹底するという声が多く寄せられた。
また、「正面玄関前に消毒液とマスクを設置し、さらに18歳未満も含め、家族以外は面会禁止にしている」(岩手、50代男性)や「面会者に対しても、消毒用薬剤の励行と使い捨てマスクの着用をお願いしている」(大阪、50代男性)のように、利用者に面会する人にも対応を求めたり、面会そのものを制限したりする事業所や施設もあった。
■「できるだけ不要な外出は控える」
さらに「外出をできるだけ控え、外出時にはマスクの着用。外から戻った時には鼻洗いを実施している」(香川、70代女性)や「マスクの着用も会社内で義務付けられています。後は、出来るだけ不要な外出を避けるようにしています」(大阪、30代女性)など、不要な外出を控える事業者や施設もあった。
■通常の対策を徹底するという声も
その一方、「通常の風邪やインフルンザ対策と同様の対応を行い、特別なことは行っていませんが、朝礼で声掛けしています」(神奈川、40代男性)や「過剰な反応はせず、いつも通りの対策をしています」(栃木、40代女性)など、通常の対策を徹底することで乗り切ろうとしている事業所や施設も少なくなかった。