眼科に関連した手術の中でも安全性が高いことで知られる白内障の手術。ところが、そのリスクを過大評価したり、誤解したりしているケアマネジャーが少なくないことが、ケアマネジメント・オンラインの調査で分かった。調査では「失明」を術後のリスクと考えるケアマネが4割に達していた上、認知機能の悪化を懸念するケアマネも3割余りいた。
ケアマネジメント・オンラインでは昨年11月22日から25日にかけて会員にアンケート調査を実施。926人から回答を得た。
視力の改善などを目指す白内障の手術では、術後に視力が急に低下したり見え方が悪くなったりすることは、ほとんどない。手術後に眼内炎を発症する可能性はあるが、それでも適切な治療を受ければ、視力の低下や失明などの状況に至ることは、極めてまれとされる。
しかし、調査で白内障手術のリスク(合併症)について複数回答で尋ねたところ、「失明の可能性」を挙げたケアマネは40.9%、「視力の低下」を挙げたケアマネは58.3%いた。さらに視力などの回復に伴い改善が期待される認知機能について、逆に悪化するリスクがあると考えるケアマネは32.2%いた。同様に改善が期待できる「身体活動性」について、低下のおそれがあると考えるケアマネは36.1%いた。=グラフ1=
いずれも、ケアマネが手術のリスクを過大評価していたり、誤解したりしていることを示すデータといえる。
白内障の疑いが強い利用者に眼科受診を勧めるかどうかを尋ねた質問では、「必ず勧めている」が18.1%。「ほとんどの場合、勧めている」(40.7%)と合わせると、58.8%のケアマネが眼科受診を勧めていることが分かった。「時々勧めている」は29.3%だった。一方、「あまり勧めていない」は9.8%、「全く勧めていない」は2.1%だった。=グラフ2=
白内障手術を勧める理由を複数回答で尋ねた質問では「見え方が改善するから」(80.4%)が最も多く、以下は「転倒予防に効果的だから」(59.0%)、「QOLの改善になるから」(57.3%)などの順となった。