ケアマネジャーを辞めて介護福祉士として再出発する―。こうした人が身近にいるケアマネが3割余りに達することが、ケアマネジメント・オンラインの調査で分かった。近年、特に介護福祉士を対象とした賃上げ策が相次いで推進されたことが背景にあるとみられる。
昨年10月に導入された「介護職員等特定処遇改善加算」は、ベテランの介護福祉士への思い切った「賃上げ」を目的としている。また、2012年度から続く「介護職員処遇改善加算」も、介護福祉士を対象としている。一方、ケアマネを対象とする処遇改善策は、あまり講じられていない。その結果、現場関係者からは、ケアマネを辞めて介護福祉士に戻る人が増えたとする指摘が出ている。
こうした状況を踏まえ、ケアマネジメント・オンラインでは今月14日から23日にかけて会員にアンケート調査を実施。146人のケアマネから有効回答を得た。
ケアマネの仕事を辞め、介護福祉士として再出発した人が身近にいるかどうかを聞いたところ、「いる」が31%となった。「いない」は51%、「わからない」は18%だった=グラフ=。
■「給与の逆転」や「仕事の厳しさ」が背景に?
「いる」と答えたケアマネからは、「ケアマネより介護職の方が、給料がいいから」(熊本、30代男性)や「最終的には『お金』だそうです」(三重、40代女性)、「神経を使うケアマネの仕事より給料がいいなら…と、転職していきました」(埼玉、50代女性)、「ケアマネより給料が良いと聞きました」(兵庫、30代男性)など、介護福祉士の方がケアマネよりも給与が高くなったことが再出発の原因とする声が多数寄せられた。
また、「24時間365日の対応に嫌気がさしたと言っていました」(愛知、40代男性)や「制度改正についていけない。仕事量は多く心理的負担も増している。地域資源の開発や、ほかのケアマネの育成など担当利用者以外の雑務が多い」(広島、40代女性)など、ケアマネの仕事の厳しさが原因とする声もあった。
■「ケアマネ離れ」、さらに加速か
「いない」や「わからない」と答えたケアマネからも、「身近なところではケアマネから介護福祉士に戻った人はいないが、多くのケアマネが介護福祉士の待遇をうらやんでいる」(岩手、50代男性)、「今のところは、移る人はおりませんが、におわせている人は結構います」(東京、50代男性)、「ケアマネになり立てだけど、給料はそんなに変わらないので介護福祉士にもどりたい」(栃木、30代男性)など、ケアマネを離れ、介護福祉士に戻ろうとする人がさらに増えることを予測させる意見が相次いだ。
そのほか「ケアマネを募集しても、なかなか応募がありません。ケアマネも処遇を改善することで人が増えるかな?」(岡山、30代男性)や、「そもそも、ケアマネの資格をとる人がいないです」(栃木、40代女性)など、ケアマネ不足が深刻化していることをうかがわせる声もあった。