主任ケアマネジャーのさらなる養成に向け、厚生労働省は、都道府県の研修の実態把握に乗り出す。現行では、専任のケアマネとして働いた年数が5年以上などの実務経験以外に、各都道府県が独自で要件を設けることができるため、事実上の受講制限になっているとの指摘があり、同省では今後、研修の現状を調べた上で、受講しやすい環境を整備するよう、都道府県側に促すとしている。
現行では、▽専任のケアマネとして働いた経験が5年以上▽ケアマネジメントリーダー養成研修修了または認定ケアマネジャーで、専任のケアマネとして働いた経験が3年以上▽主任ケアマネに準ずる者として地域包括⽀援センターに配置▽ケアマネ業務に関する知識・経験が十分にあると都道府県が認定―のいずれかを満たす必要があるが、「質の⾼い研修を実施する観点から、都道府県において上記要件以外の要件を設定することも可能」との例外規定が設けられている=図=。
12日に開かれた社会保障審議会介護給付費分科会では、「認知症の人と家族の会」理事の鎌田松代委員が、「東京都では受講が制限され、受けたくても受けられないということが生じていると聞いている。その理由が何なのかを教えていただきたい」と、厚労省側にただした。
同省老健局の尾崎守正振興課長は、都道府県による例外規定の活用に触れ、「(都は)各市町村の推薦をもらってきてくれということを受講の要件にするという形にしている。そこの部分でもしかしたら、希望に沿った形の受講が必ずしもできないケースが出てきているのではないか」と指摘した。
管理者要件について議論した12日の分科会
これに対して鎌田委員は、「主任ケアマネを居宅に配置すべきということであれば、国の方でも、少し市町村と話し合いを持っていただいて、できるだけ(研修を)増やす環境を整備していただきたい」と要請した。尾崎課長は「主任ケアマネの受講要件については、都道府県の方でもう少し柔軟に運用できる部分もある。実態を少し確認させていただいた上で、改正の内容を各都道府県に周知する際、併せてご協力をお願いしたいと思っている」と述べた。
同省では早ければ年度内に、居宅介護支援事業所の管理者要件に関する経過措置の延長などを通達する見通しで、その際、都道府県側に協力を求めるとしている。