更新研修はどうなる?処遇改善は?国家資格化テーマに熱い議論

ケアマネジャーの国家資格化をテーマにしたシンポジウムが、このほど宮崎市内で開かれた。九州、沖縄の8県の介護支援専門員協会の共催で、管内のケアマネ約200人が出席。研修のあり方や処遇改善、国家資格化の先にある将来像など、幅広いテーマで熱い議論が交わされた。

この日は、医師とケアマネの資格を持つ公明党の秋野公造参院議員が、「国家資格化に向けた合意形成の意味」と題する基調講演を行った。

ケアマネの国家資格化をめぐっては、更新研修の廃止に期待する声も強いが、秋野議員は「これまでの歴史の中で、介護支援専門員の質の確保、あるいはその役割を担っていただくためには、試験と一緒に研修も受けていただく必要があると整理されている。その状況の中でいきなり、研修だけをなくして国家資格化することに、国民の理解が得られるかどうか、少し冷静な議論が必要だと思う」と述べた。


基調講演であいさつする秋野議員

また、「保健福祉分野での実務経験が5年以上など、他の国家資格などを活用し、研修をしっかり受けていただくという形で成り立っている資格であることを考えると、カリキュラムをどうしていくのかという整理も必要だ。例えば、障がいの分野や医療との連携の部分も担っていくのか。どこまでの範囲を担っていただくのかという問題も含めて、評価していく必要があると申し上げておきたい」とも語った。

■セルフプランの扱いをどうすべきか

さらに「名称独占」と「業務独占」の問題にも言及し、「介護福祉士は、『介護福祉士』と名乗って仕事をすることで、国民の役に立つことが求められている。介護福祉士だけが特別にできることはないということだが、名称独占という法的な根拠があるからこそ、例えば、介護福祉士が行い得る医行為といったものが存在する」と指摘した。

現行制度では、利用者や家族もケアプランを作成できるが、介護報酬の対象となるのは、ケアマネが作成した場合のみと、事実上の業務独占となっている。医師法は、「医師でなければ、医業をなしてはならない」と定めており、違反した場合の罰則規定もある一方、行政書士法では、行政書士だけができる業務とそれ以外の業務が区分けされている。

秋野議員は「例えば、『介護支援専門員』の名称を用いてケアプランを作成することで、国民の生活の質の向上につなげていくとなると、マイケアプランの扱いをどうするのか。そして研修はどうするのか。マイケアプランを作る時も、研修を受けなければならないとするのか。さまざまな検討をすべきだ」と述べた。

■相談業務の資格の一本化を―日本協会・柴口会長が私見

その後のシンポジウムでは、▽日本介護支援専門員協会の柴口里則会長▽国際医療福祉大大学院の石山麗子教授▽埼玉県立大大学院の川越雅弘教授▽宮崎県看護協会の中武郁子会長▽宮崎県老人福祉サービス協議会の川越淳会長―の5人がそれぞれ発言した。


登壇した5人のシンポジスト

柴口会長は、国が推進する地域共生社会に触れ、「一つの家庭に高齢者がいて、8050の問題があり、精神障がい者もいる中で、介護支援専門員、障がいのマネジメントをする人、精神保健福祉士と3つの専門職が入っているケースがある」と指摘。その上で「医師と看護師は一つ。薬剤師もそうだ。壁は高いが、最終的には業務独占を目指さなければいけないと私は思う」と述べ、相談業務の資格の一本化が必要との認識を示した。

また、中武会長は「医療ニーズの高い要介護高齢者には、介護保険サービスのみでの生活の構築は難しく、医療サービスをはじめとしたさまざまな制度を横断的にマネジメントすることが必要だ」などと主張し、「介護支援専門員の国家資格化は避けて通れない課題だと思う」と語った。

一方、ケアマネの資格を持つ川越会長は「研修は非常に大変だが、更新制を持った資格は珍しい。何年かに1回更新を受けるんだということを、むしろ“強み”として訴えてもいいのではないか」との見方を示した。

■国民の期待に応えているかが問われる

日本初の実践ケアマネジメント学の修士課程で教える石山教授は、「社会が求める形になっているか、ここが見られると思う。ケアマネジャーにとっていい制度になるというよりは、国民が期待するものになっているかが問われる」とし、「存在すればいいのではなく、機能しなければならない。すべてのライフステージを対象とするならば、それに対応できる機能が求められる。かなりの教育が必要になるだろう」と語った。

一方、川越教授は「今、多職種の視点と多様な手段を通じて、課題解決力を高めることが求められている。本人へのアプローチと環境へのアプローチの融合が図られようとしている」などと指摘。その上で、環境へのアプローチには、地域資源の活用が不可欠だとして、多職種の強みを把握し、課題解決につなげることができるケアマネジメント力の必要性を示した。


約200人が出席したシンポジウム

■処遇改善で国家資格化、「理解得られない」―秋野議員

場内からは、「国家資格化によって、ケアマネの処遇改善は期待できるか」との質問も。これに対して秋野議員は、「国家資格を目指すという話は、処遇改善の先にある。処遇改善だけであれば、すぐに取り組もうと思えばできるという話になるので、議論の際は整理が必要だ」とした上で、「何のために国家資格にするのか。『処遇改善のために国家資格にする』という雰囲気が出てくると、多くの方に理解していただけないと思う」と述べた。

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