介護事業者が行政に提出する文書のルールの見直しに向けた検討が本格化している。厚生労働省は18日の社会保障審議会介護保険部会の専門委員会で、今後具体策を検討する項目案を示し、大筋で了承された。同省は、早期に実現できる施策に関して、年度内にも自治体に通達する方針だ。同日の会合では、ケアプランの「軽微な変更」への行政側の対応について、複数の業界団体から是正を求める声も上がり、予断を許さない状況が続いている。
厚労省が項目案を示した18日の専門委
専門委は先月7日に初会合を開き、同28日には、業界団体からのヒアリングを実施。厚労省の項目案は、これまでの議論やヒアリングの意見を踏まえたものだ。
同省は今後、(1)個別の申請様式・添付書類や手続きの簡素化(2)自治体の“ローカルルール”の解消による標準化(3)さらなる効率化につながる可能性のあるICT等の活用―の3段階で検討を進める方針を示した上で、具体策を協議する項目(論点)と優先順位を提案した=表=。
押印や原本証明、添付書類など、ルールさえ整備できれば、事業者の手間を減らせる施策を優先させる一方、特に小規模事業所の負担が大きいICT化などについては、次年度以降、中長期の視点で検討しようという内容だ。
同省が示した項目案について、大きな反対はなかったものの、複数の委員から「紙と電子媒体が並行し続けるのではなく、最終的にICTの活用に向かう姿勢を明確に示してほしい」との声が上がった。
■実地指導でサ担照会記録の要求も
18日の会合では、日本慢性期医療協会(日慢協)と全国老人福祉施設協議会(老施協)が意見書を提出。両団体からは、厚労省が2010年7月に出した通知で、ケアマネジメントの一連の業務を省略できるとしているケアプランの「軽微な変更」について、自治体によって対応が異なるなどとして、是正を求める意見が出た。
日慢協で副会長を務める橋本康子委員は、「サービスの提供日時の変更などでは、(一連の業務を)行う必要がないとなっているが、そうした軽微な変更でも提出を求められ、『負担軽減になっていないのではないか』というご意見があった」と指摘。さらに、「サービス担当者会議の照会記録(旧第5表)も、実地指導では廃止されているが、求められたケースが多いというご意見があった」とも述べた。
日本介護支援専門員協会副会長の濱田和則委員は、両団体の意見に賛意を示した上で、「(同協会の会員のケアマネジャーから)軽微な変更の際、文書の再作成が求められる事例が見られるという意見があった。軽微な変更については、元の文書の微修正という形を取らせていただくか、経過記録、その他の場面で確認できるようにしていただきたい」と求めた。