社会保障審議会介護給付費分科会の委員で産業医科大の松田晋哉教授は1日、日本介護支援専門員協会(日本ケアマネ協会)の全国大会で講演した。松田教授は、住まいこそが地域包括ケアシステムを実現する上での基礎となることを改めて強調。さらにケアマネジャーも高齢者の住まい方に関心を持ち、行政に提言する必要があると述べた。
松田教授は、高齢者を地域で孤立させないためには、食の確保や買い物支援、移動手段の確保など、その生活を支えるための取り組みを充実させる政策がポイントになると指摘。各地の具体事例を示しながら、生活を支えるための取り組みを拡充するためには、地域の高齢者の住まい方の課題や実情に合わせて考える必要があるとした。
さらに、高齢化に伴う介護や医療のニーズの拡大に対応するためには、地域内のサービスが、医療や介護などの垣根を超えて複合化する「ケアミックス化」が不可欠と述べた。
(講演する松田教授)
■「資源マップ」「よりあい広場」…地域での連携促進のための取り組みを報告
同日の日本ケアマネ協会の全国大会では、在宅医療や認知症ケアマネジメントなどに関する分科会も開かれた。このうち「高齢社会におけるさまざまな場面での地域連携の方法や役割を考える」と題した分科会では、介護保険サービスや在宅医療関連の情報に加えて、配食サービスや移動支援、集いの場などの情報まで盛り込んだ地域の資源マップを作成した高知県四万十市内のケアマネらの取り組みや、地域の高齢者の孤立を防ぐため「よりあい広場」を開設した徳島市の居宅介護支援事業所の取り組みなどが報告された。