遠距離を乗り切る6カ条と対処法

-親と離れて暮らしている場合-

1.転ばぬ先の杖

遠距離介護は事前の備えが重要です。「まだ介護なんて……」と他人事と思わず、普段から情報を集めましょう。

2.見守り体制づくりに励みましょう

帰省の折には、近隣の親戚や、つきあいのあるご近所の方の連絡先、施設や介護関連事業所の数などの地域情報を集めましょう。また、親のケアマネジャーと主治医とは密に連絡を取りましょう。

3.両親の価値観を大切に

親はどのような生活リズムで生活しているのか。生活する上で何を大切にしているのか。こうした「目に見えない」生活環境の把握は忘れがちです。機会を見てヒアリングしておきましょう。

4.身内・親族一丸となれる努力を

親族それぞれの介護に対する考えを事前に聞いておきましょう。みんなが自分ごととして考え、協力し合える話し合いの場を持ちましょう。

5.考えるよりまず行動

考えているだけでは、解決しません。まずはできることから少しずつでも一歩を踏み出していきましょう。

6.介護する人される人、誰もが無理せず笑顔でいられるように

介護される人が笑顔でいるのは大切なこと。しかしそのために、ご家族や支える人たちが犠牲になってはいけません。決して一人で抱えこまずに、悩みは誰かに相談して解決していきましょう。

遠方の親が突然入院したら?

・連絡を受けたら、必要なものなどを確認し、できるだけ早く帰省しましょう。
・医師の説明を聞いて入院期間等を確認後、入院中の着替えの用意や病院での付き添いなどの支援体制を整えましょう。完全看護の場合は付き添いは不要ですが、人手が足りない場合は外部(家政婦紹介所等)に依頼する方法もあります。(予算の目安は1万円/1日)
・入院中、自宅に残された親の支援体制も考えましょう。炊事・洗濯・買い物など、できること、できないことをリスト化し、親類やご近所への協力も仰ぎましょう。
退院が決まったら、その後の生活について家族や親類と話し合い、介護が必要なようなら病院内の医療相談室や地域包括支援センターへ相談しましょう。

物忘れが増えてきたら?

帰省の際、前回より如実に親の物忘れが増えていて不安という場合は、お住まいの地域の地域包括支援センターに相談しましょう。担当者が自宅を訪れ、状態を観察し(簡単な判定も行う場合も)、必要ならば介護保険の申請についても聞きましょう。

特に買い物や調理などの日常生活に支障が出ているようなら、一度専門医の受診をすすめましょう。この場合、「認知症の検査」などと言うと、ご本人が拒否することもしばしばです。「健康診断」「予防のための受診です」と誘ってみるとうまくいくことも。

介護保険の申請が必要な状態の場合、今後、ひとり暮らしや高齢者世帯だけでの生活が可能かどうかを判断し、サポート体制を整えます。この場合、身内の協力者だけでなく、ケアマネジャーも相談にのってくれます。

認知症で一人暮らしの場合、石油ストーブはエアコンやホットカーペットにしたり、ガスコンロはIH調理器や電気ケトルにするなど、火災に通じる危険因子を取り除きましょう。ただし最新のものは高齢者が使いこなせない場合もあるので、十分リサーチしてから判断しましょう。

車の運転をしている親の場合は免許証の返納がベストですが、本人の尊厳を傷つける場合もあるので、軽度なうちは「遠くへ行かない」「知らない場所へ行かない」「他人を乗せない」などのルールを作り、守ってもらうようにしましょう。

認知症になって悪徳商法などの犠牲になるのを防ぐためには、財産管理も重要です。地域の社会福祉協議会には日常的なお金の出し入れの管理や登記簿・証券や実印など大切なものを預かってくれる「日常生活自立支援」制度があります。症状が中重度になったら、成年後見制度も検討します。

一緒に暮らしてほしいと言われたら?

まずはじっくり親と向きあって話し合う機会を持ち、現在の自分の仕事や家族のことなども含め、できることできないことを明確にしましょう。気安く請合うと、過度な期待を持たせることで傷が深まる場合もあるので、慎重に。場合によっては、呼び寄せて同居することも検討します。
親が引っ越しを望まない場合は、帰省回数を増やしたり、電話等での連絡を密にし、寂しい思いをさせないようにしましょう。

親世帯の生活環境を整える

親に介護が必要になっても、介護保険や周囲の協力で、自宅での老世帯(または独居)生活を継続する場合は、暮らしやすいよう生活環境を整えましょう。
部屋や玄関にセンサーをつけたり、電気ポットの使用の有無で安否を確認し、契約者の携帯に通知するサービスや、ペンダントのように首から提げて非常時にボタンを押すとあらかじめ登録している人に連絡がいくシステムなど、さまざまな安否確認サービスがあるので検討しましょう。

生活家電は、使いやすく、表示ボタンが大きいものを選ぶ、家の中のコンセント類につまづいて転倒しないようまとめる、家のなかの導線を考える、和式トイレを洋式に、家の段差を解消するなど、安全・快適に暮らす方法を検討します。
介護保険の認定を受けていれば、住宅改修や福祉用具の購入は1割負担で行えます(上限あり)。

万一、亡くなってしまったら

速やかに以下のことを実施します。
1)兄弟姉妹・近親者への連絡
2)まとまった現金を銀行からおろす
3)1週間程度の仕事の予定をキャンセルし、忌引き休暇を取得する。
4)葬儀社に連絡し、病院等からの遺体搬送と葬儀の手続きについて相談する。寺院・教会等への連絡も行い、日取りを決めます。
5)葬儀に呼んでほしい人のリストや、葬儀の方法などについて、故人の意向がないかを確認します。
6)通夜から葬儀が終わるまでは、残された親も過度のストレスにさらされています。常に誰かがそばにいて、見守るようにしましょう。

亡くなった当日から49日までは、さまざまな行事も多く、帰省回数が増えるので、交通費はゆとりを持って準備しましょう。この間、気持ちが落ち着いてきたら、残された親の今後の生活について、当人を含め、家族で話し合いましょう。

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