健康食品・無添加化粧品の株式会社ファンケルは、6月13日、香り成分に記憶力に関わる脳の働きを高める効果があることを発見したと発表した。
認知症の中核症状の1つに著しい記憶力の低下があり、その予防には日常的に脳を活性化することが重要と言われている。
一方、記憶力は香りと密接な関係性があるという多数の研究報告があるが、未だに不明な点が多い。また、研究の多くは、精油など複数の香り成分に関するもので、単一の香り成分に関するもの少なく、特に行動する際に必要となるルールや前行動などを覚える「作動記憶」に関するものは知られていないという。
そこで、同社では、記憶力のなかでも特に日常生活において重要な機能である作動記憶に着目し、作動記憶に関わる脳の領域における単一の香り成分の効果について研究を行った。
研究には記憶力の向上が期待されるテルピネオール、カンファー、1,8シネオール、無臭のジプロピレングリコールの4成分を使用。被験者がそれぞれの香りを吸入しながら、作動記憶を必要とするパソコン作業を行い、その間の脳内の血流量変化を測定することで、脳の活動を調べた。計測には、脳活動に伴う大脳皮質の血中ヘモグロビン濃度変化を計測する光トポグラフィ装置を用いた。
その結果、天然に存在するモノテルペンアルコールの一種で、月桂樹やローズマリーといった植物由来精油の成分でもあるテルピネオールの吸入時に、作動記憶に関連する左右2ヵ所の脳領域において、他の成分と比較して著しい脳血流量の増加が確認された。
このことから、テルピネオールを吸引することで嗅覚を介し、作動記憶能力の改善や認知症予防につながる可能性が示唆されたという。
◎ファンケル ニュースリリース
http://www.fancl.jp/news/pdf/20160613_kiokuryokunikanyosurukaoriseibun.pdf