日本医師会と米穀安定供給確保支援機構は、11月27日、東京都内において、ごはんを主食とした日本型食生活の有用性等について考える「食育健康サミット」を開催した。
サミットでは、中高年や高齢者における食に関する講演も行われ、あいち健康の森健康科学総合センター長の津下一代氏は「中高年の肥満対策と生活習慣病予防のための食事処方」というテーマで、米飯をきちんと食べることの重要性を唱えた。
同氏によると、中高年男性の約3割、女性の約2割に肥満が認められる(平成24年国民健康・栄養調査報告)理由として、50~60代は推定エネルギー必要量が30~40代より100kcal低いにもかかわらず、食事摂取量はむしろ20~40代よりも50kcal程度高く、過剰なエネルギーが結果的に脂肪蓄積につながっているためと分析している。
また、都市部で行われた研究では、米飯による糖尿病有病率の増加は見られないこと、また米飯を主食とする和食は栄養素のバランスがとりやすく、かつ米飯をきちんと食べることで間食が減り、かえって減量につながった事例も少なくないことなどが紹介された。
また、名古屋大学大学院の葛谷雅文教授による講演では、「高齢者の介護予防・虚弱(フレイル)予防のための食の在り方」が解説された。
同氏は、これまで日本の成人の栄養問題は生活習慣病の視点から過栄養がクローズアップされてきたが、超高齢社会においては、後期高齢者が陥りやすい「低栄養」「栄養欠乏」の問題の重要であると指摘した。
後期高齢者が要介護状態に陥る原因は、脳血管障害ならびに生活習慣病を基盤としたものよりも、むしろ認知症や骨折・転倒、衰弱(フレイル・サルコペニア)などの老年症候群に関連する要因が多い。老年症候群のなかには、栄養状態を保つことで要介護に至るまでの時期を延ばすことができるものがかなりあることから、高齢者においては十分な栄養摂取が重要であるという。
米には、炭水化物だけでなく、良質なたんぱく質やビタミンも含まれ、副菜との関係で栄養バランスもとりやすい。日本人が長寿なのは日本食が理にかなった食事であるためという指摘もあり、日本食の健康寿命への影響に関して見直してもよい時期に来ているかもしれないと語った。