厚生労働省は、11月15日、同省に寄せられた「国民の皆様の声」の10月1日~ 10月31日受付分(地方受付分:は9月26日から10月25日)の集計結果を公表した。
この期間に介護保険の所管である老健局に寄せられた声は、電話258件、手紙5件、FAX10件、メール5件の合計278件だった。
寄せられた内容の内訳は、政策・制度立案への提言が6件、制度の実施に関する提案(職員等の接遇問題を含む)が14件、その他258件となっている。
いずれも、利用者の切なる願いや不満が目立ち、ケアマネジャーが利用者にきちんと説明できれば理解してもらえる内容が多いが、中には施設における内部告発的なものもあった。
ここでは、主な声を紹介する。Aは厚労省のとった対応である。
Q 介護老人福祉施設の「日常生活継続支援加算」について、「たんの吸引等の行為を必要とする者」の判断基準はどのようなものなのか。
A 「たんの吸引等の行為を必要とする者」とは、たんの吸引等の行為を介護老人福祉施設の介護職員又は看護職員が行うことにつき医師の指示を受けている者をいう旨を説明した。
Q 管理栄養士が行う居宅療養管理指導において、居宅を訪問した管理栄養士が特別食の調理もしてくれると有り難い。
A 管理栄養士が行う居宅療養管理指導は、栄養管理に係る情報提供及び指導又は助言を行うサービスであり、特別食の調理を行うサービスではない旨を説明した。居宅における特別食の調理に関しては、訪問介護等の他の訪問サービスで提供することも可能であり、居宅ケアマネジャーに相談してみるようお伝えした。
Q 60代の母親が要介護3と認定されており、認知症、難病に加えてがんを患っている。肺炎になりやすく、なかなか外出させることができない。家族の介護疲れも著しいので、ヘルパーさんに来てほしいが、1回30分が上限と聞いている。主治医や地元の役所には、自費で家政婦を雇うことをすすめられた。
必要なサービスを受けられないなら、介護保険の意味がないのではないか。公共サービスとしての決まりがあることは理解しているが、特例は認められないのか。サービスの体系が現実に即していない、見直しはどうなっているのか。国民の声は届かないのか。
A お気持ちは大変よくわかるが、残念ながら特例を認めることはできないと説明した。
3年に1度見直しを行っていること、おうかがいした内容は記録して、改定時の参考とさせていただくことを説明した。
Q 介護老人保健施設において、不適切な運営が行われている。また、医師である施設長が医療ミスを隠蔽している。
A 当該介護老人保健施設の許可権者に情報提供を行った。
Q 介護老人保健施設のケアの質が悪く、入所者にとって不利益である。(同一人物より2通)
A 当該介護老人保健施設の許可権者に情報提供を行った。
Q 介護保険料を滞納した場合、保険給付にどのような影響がでるのか。
A 被保険者間の負担の公平の観点から、①1年間滞納した場合:保険給付の償還払い化、②1年6ヶ月間滞納した場合:保険給付の支払の一時差止、③保険料の徴収権が時効消滅した場合:保険給付の減額、高額介護(予防)サービス費及び特定入所者介護(予防)サービス費の不支給という保険給付の制限が行われることとなる旨を説明した。
Q 介護保険施設等の食費・居住費について、なぜ保険給付の対象外とされているのか。
A 介護保険施設等の食費・居住費については、平成17年の制度改正により見直しが行われ、在宅で生活する方と施設で生活する方の負担の公平性の観点から保険給付の対象外とされた経緯や、一方で低所得者については、新たに求められる居住費等により、介護保険施設の入所が困難となる事態が生じないよう、負担軽減を図る観点から補足的給付を行っている旨を説明した。
◎厚生労働省に寄せられた「国民の皆様の声」の集計報告について
http://www.mhlw.go.jp/houdou_kouhou/sanka/koe_boshu/dl/131115a.pdf