エーザイ株式会社は、10月31日、アルツハイマー型認知症治療剤「アリセプト」(一般名:ドネペジル塩酸塩)のレビー小体型認知症に関する効能・効果を追加申請したと発表した。
レビー小体型認知症は、日本では、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症と並んで3大認知症に位置づけられ、進行性の認知機能障害に加えてパーキンソニズム、幻視など特有の精神症状を示す。レビー小体型認知症の効能を持つ薬剤はまだ存在していないが、国内の主要治療ガイドラインにおいてレビー小体型認知症の治療に、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の使用が推奨されている。
同社では、日本人のレビー小体型認知症患者を対象とした臨床第II相試験(431試験)を実施、実薬投与群がプラセボ投与群に対して認知機能障害、精神症状・行動障害、全般臨床症状に関する有効性評価項目について有意な改善を示すことを確認。
ついで実施した臨床第III相試験(341試験)では、認知機能障害および精神症状・行動障害を主要評価項目として12週間投与におけるプラセボに対する優越性を検証するとともに、長期(52週間)投与の安全性および有効性を検討した。その結果、認知機能障害について、12週間投与の最終評価時においてプラセボ投与群に比べて有意な改善効果を確認した。また、認知機能を52週間にわたり投与開始時の水準よりも高いレベルに維持することが示された。
精神症状・行動障害については、実薬投与群とともにプラセボ投与群でも改善がみられ、12週間投与最終評価時においては両群に有意差は認められなかった。これらの試験において確認されたドネペジルの安全性プロファイルは、これまで確認されているものと同様であり、想定外の新たな有害事象は発生しなかった。
日本におけるレビー小体型認知症の患者数は20万人以上と推定されており、その数は高齢化にともない増加する傾向にあることから医療現場における新たな治療法のニーズが高まっている。「アリセプト®」の追加申請がその一歩となることを期待したい。
◎エーザイ株式会社
http://www.eisai.co.jp/