介護の専門家に相談できる

＜ボツリヌス療法2＞リハビリの励みは「症状の改善」

グラクソ・スミスクライン株式会社による、脳卒中の後遺症である手足の筋肉のつっぱり（痙縮/けいしゅく）に関する調査について、引き続き紹介する。

今回の調査結果を分析したところ、治療経験者の約半数は痙縮があっても治療を中断しており、痙縮の治療を受けていない患者家族の約半数は治療の効果を期待できずにいる。そして、痙縮に効果のあるボツリヌス療法の認知度や治療経験が低い傾向が見られた。

同結果発表に際しては、市場調査会社であるインテージが2013年5月に痙縮のある患者116名、及びその家族110名を対象に実施した「介護・リハビリの実態・患者と介護者の意識調査」の結果も同時に発表された。その結果、患者本人と家族の意識のずれがあることなど、以下のような傾向が見られた。

患者がリハビリを受ける際、「症状改善見込み」への精神的負担感が大きい
患者本人がリハビリを受けるにあたり、負担や大変に感じていることのトップは「なかなか改善しないこと」が42.2％。次いで「体がうまく動かないことによる精神的ストレス」40.5％とこちらも高く、｢いつまで続くかわからないこと｣が33.6％だった。そうした負担感を感じる人が多い一方で、3割の人は「特にない」と答えている。

家族にとっての負担は、先の見えない介護生活、時間の拘束
家族が介護のために負担や犠牲になっていると思ったこととしては、「いつまで続くかわからないこと」が全体のトップで54.5％。次いで「自分の自由な時間が少なくなる」48.2％、「気が休まらず、精神的なストレスが大きい」43.6％と、半数前後の項目がいくつも並んだ。

患者は、症状の改善へのあきらめの意識が高い
患者本人が痙縮について日頃感じていることとしては、「少しでも症状がよくなる方法があれば前向きに取り組む」が62.1％。次いで「この症状は治らないと思う」が53.4％、「生活動作が行いにくくて不便」が50.0％と、希望とあきらめの気持ちが交錯していることがわかった。

患者の約6割が介護・介助に時間がかかっているという認識が低い
1日で介護・介助を必要として、それに時間がかかっていると感じる項目としては、患者本人の6割が「特にない」と答えており、時間がかかっているという認識が低いことがうかがえた。

家族から見た介護に時間がかかっているのは、移動、家事の介助
家族が1日で時間がかかっていると感じる介護内容のトップは「外出時の移動」で48.2％、次いで「通院｣43.6％、｢炊事・洗濯・掃除などの家事｣39.1%。患者本人とは対照的に、「特にない」と答えたのはわずか15.5％だった。

患者本人にとってリハビリの励みは「症状の改善」
患者本人のリハビリの励みは「症状の改善」40.5％、次いで「自分でできる趣味をする」39.7％、「よくなるという自分の強い気持ち」33.6％の順。

家族にとって介護の励みは「患者の笑顔、感謝の言葉」
家族にとっての介護の励みは、「患者本人の笑顔、感謝の言葉」が29.2％で全体のトップ、次いで「趣味をすること」25.5％、「患者本人の症状の改善が見られること」24.5％。患者本人の気持ちと共に、「症状の改善」も大事な要素であることがわかる。

以上の結果から、痙縮に向き合うには「症状の改善」「適切な情報伝達」がキーワードになるなど、以下のような分析ができた。

・治療法やその効果についての情報を適切に伝えることで、あきらめの気持ちを前向きに変える可能性が示唆された。

・介護・リハビリを実施する動機付けとして、「症状の改善」は重要な要素であることが確認された。「症状の改善」は患者本人に心のゆとりを生み、家族への思いやり、患者・介護者双方の励みにつながっていくと推測される。

・脳卒中の後遺症は介護者の負担も大きく、「適切なリハビリの実施」、「症状の改善」に関する情報を伝え、啓発していくことが重要である。

なお、同社は、痙縮のある患者のための疾患情報サイト「脳卒中の後遺症（痙縮）」を開設しており、痙縮の診察や治療を行っている病医院を調べることができるコンテンツの提供や小冊子の配布も行っている。

◎脳卒中の後遺症（痙縮）
http://btx-a.jp/index.html

◎グラクソ・スミスクライン株式会社公式ホームページ
http://glaxosmithkline.co.jp/

■関連記事
･＜ボツリヌス療法1＞脳卒中の後遺症である「痙縮」に有効な療法の認知度は？