厚生労働省は、3月14日「平成23年国民健康・栄養調査報告」を発表した。
同調査は、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料として毎年11月に実施されるもので、対象となるのは1歳以上。今年実施したのは、無作為抽出した約5,549世帯のうちの3,312世帯。調査項目は、身長、体重、腹囲、血圧、血液検査、歩数、問診(服薬状況、運動)などの身体状況や、身体活動・運動、休養(睡眠)、飲酒、喫煙、歯の健康等に関する生活習慣全般について行われる。
■年齢とともに高くなる血圧
第2部「身体状況調査」の「薬の服用状況」について見ると、血圧を下げる薬は年齢と共に増えて70歳以上では半数が服用している。次いで多いのがコレステロールを下げる薬で70歳以上で24%、糖尿病の薬が70歳以上で10%と続いた。
血圧についてもう少し詳しく見ていくと、70歳以上の42%の人がI度高血圧(最高血圧140~159)で、II度高血圧(最高血圧160~179)の人が13%、III度高血圧(最高血圧180以上)の人が3%という割合。「高血圧症有病者(最高血圧140以上または最低血圧90以上、もしくは血圧を下げる薬を服用中)」については、70歳以上の76%がそれに該当し、そのうちの70%が服薬している。75歳以上ではさらにその割合は高まる。
■高齢者が運動する理由は目的意識にあり
第3部「生活習慣調査の概要」で特徴的なのが、健康づくりのための身体活動や運動をやっている人の割合。70歳以上が50.5%と最も高く、60代49%、50代37.4%、40代30.3%、30代27.5%、20代26%と、若くなるほど減ってしまう。ちなみに、一番低かったのが20代女性で、23%と高齢者の半分以下だった。目的も年代によって特徴があり、70歳以上は介護予防68%、生活習慣病や肥満の予防・改善は57%弱に対して、40代、50代、60代の介護予防はそれぞれ12%、19%、37%に留まり、生活習慣病や肥満の予防・改善は80%に達した。また、60歳以上の男女を比べると、女性の方が介護予防を意識する割合が8~10ポイント高かった。
運動日数も特徴的で、1日30分以上の運動を毎日やっている割合が70歳以上では16%、60代では12.6%を占める。特に、70歳以上の男性は20.6%という高い割合だった。ちなみに20代女性の90.5%が、1日30分以上の運動を1週間に2日以上やっていない。
なお、1日の歩行数を見てみると、50代が7,524歩、60代が6,970歩に対して、70歳以上は4,740歩とぐんと少なくなる。これは歩行の機会が減ってしまったり、歩行に支障が出ていたりすることによるものと思われる。
「日常生活の中でどのような悩みや不安を感じているか」を聞いた項目では、70歳以上の場合、「自分の健康について」がトップで58.4%、次いで「家族の健康」が32.6%となっている。その一方で、若い年代では割合の高い「収入や将来の生活設計について」は15.6%と少なめだった。また、「特に悩みや不安がない」と答えた割合も70歳以上が一番高くて23.7%(男性27.5%、女性20.8%)。このことからも、健康に気を遣った行動に熱心になる心理が読み取れる。
◎平成23年度国民健康・栄養調査
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou/h23-houkoku.html
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