10月2日、山梨赤十字病院の介護職員だった男性(当時43歳)の自殺について、遺族が日本赤十字社を相手取り、約8900万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が甲府地裁であった。
判決によると、男性は1993年から調理師として病院に勤務。2005年から通所リハビリ施設の介護職に異動し、介護に関する資格を持っていないのに責任者として介護業務に従事。07年4月に施設内の浴室で自殺し、都留労働基準監督署は09年12月、うつ病発症が自殺原因として労災認定しているという。
判決では、自殺直前1ヶ月の時間外労働が約166時間、6ヶ月で平均99時間だったとし、過剰な業務と精神的負担でうつ病となって自殺したとの因果関係を認めた。さらに病院が、時間外労働の減少に向けた指示をせずに漫然と放置するなど、注意義務を怠ったと指摘。約6991万円を支払うよう命じた。病院側は「判決内容を詳細に検討した上で対応を考える」としているという。
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