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全国初・温泉水を活用した介護予防の効果を発表−−富山市角川介護予防センター

富山市角川介護予防センター（愛称・ほっとねす角川）は、このほど、利用者の介護予防効果の調査を行い、身体機能の向上や意識面での改善など介護予防につながる一定の効果が実証されたことを発表した。

同センターは、温泉水の浮力や抵抗を活用した多機能温泉プールでの水中運動や陸上運動、パワーリハビリテーションなどにより、無理なく、楽しくかつ効率的に身体機能の向上を図る介護予防施設で、温泉水を活用した介護予防は全国初。
調査では、加齢に伴い低下するとされる歩行機能・姿勢保持機能などの身体機能の向上や、「気持ちが前向きになった、健康への関心が高まった」など意識面での改善が見られたという。

【調査の概要】
■調査の対象：ＱＯＬ会員50人および運動温泉会員141人
ＱＯＬ会員…地域包括支援センター単位のバス送迎により利用する会員。平均年齢75.5 歳（80 歳以上13 名　80 歳未満37 名）
運動温泉会員…個人単位で自己の都合で利用日、利用時間、利用回数を決定する会員。平均年齢75.4 歳（80 歳以上31 名　80 歳未満110 名）

■調査の内容
3ヵ月の利用前・利用後に以下の項目を測定
1）加齢に伴い顕著に低下するとされる歩行機能、姿勢保持機能、バランス機能、下肢筋力の4項目
2）基礎的身体要素である筋力、柔軟性の2項目
3）ＱＯＬを評価する尺度として、健康への気づき、行動変容、自己効力感に関する10項目

■調査の結果1：ＱＯＬ会員
・測定結果
1) 5ｍ歩行
…4.0秒から3.5秒に短縮し、歩行機能の向上が統計的有意に見られた。
2) タイムアップアンドゴー
…8.9秒から8.1秒に短縮し、歩行機能、バランス能力の向上が統計的有意に見られた。
3) 30秒立ち上がり
…12.2回から15.8回に向上し、下半身の筋力向上が統計的有意に見られた。

・アンケート結果
3カ月利用後のアンケートでは、約7割の利用者が体調全般の向上、健康への関心が高まり、前向きな気持ちへの変化があったと回答した。

■調査結果2：運動温泉会員
・測定結果
1) 5ｍ歩行
…3.7秒から3.1秒に短縮し、歩行機能の向上が統計的有意に見られた。
2) タイムアップアンドゴー
…8.5秒から7.3秒に短縮し、歩行機能、バランス能力の向上が統計的有意に見られた。
3) 30秒立ち上がり
…13.6回から15.5回に向上し、下半身の筋力向上が統計的有意に見られた。

・アンケート結果
3カ月利用後のアンケートでは、7割強の利用者が体調全般の向上、健康への関心が高まり、前向きな気持ちへの変化があったと回答した。

■調査のまとめ
1. 介護予防、寝たきり予防につながる指標が向上
ＱＯＬ会員、運動温泉会員とも3 カ月間の利用の前後で、6 項目の身体機能測定のうち「5ｍ歩行」「タイムアップアンドゴー」「30 秒立ち上がり」が統計的に有意に向上した。この3 項目は、介護予防、寝たきり予防につながる重要な指標といわれ、歩行機能の向上、バランス機能の向上、下肢筋力の向上が達成できたと考えることができる。

2. ＱＯＬに影響する自己効力感が向上
ＱＯＬ会員、運動温泉会員のおおむね7 割が3 カ月間の利用の前後で、「体調全般の向上」「健康への関心の高まり」「前向きな気持ちへの変化」があったと回答した。健康への気づき、自己効力感は介護予防におけるＱＯＬの向上に関して大変重要な要素であるといわれ、当センターの利用がＱＯＬに影響したと考えることができる。

3. 短期的な介護予防効果を確認。今後は、長期的な追跡調査が必要
同検証においては、あらかじめプログラムを作成して利用する「ＱＯＬツアー会員」と、自由な時間に来館し自己で内容を決定する「運動温泉会員」の両方において、3カ月の短期的な介護予防効果を確認することができた。
実際の介護予防効果の検証には、長期的な追跡調査を実施し、要介護認定の状況を把握した疫学的調査が今後必要である。

◎富山市角川介護予防センタ−

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