「トイレで排便」こそが自立支援の基に――排便コントロール取組事例レポ(1)

医療用サプリメントメーカーの太陽化学株式会社は、10月18日(火)、排便コントロール向上セミナー「オムツ・下剤ゼロ運動への取り組みについて」を開催した。

セミナーでは、特別養護老人ホーム世田谷区立きたざわ苑の施設長・岩上広一氏と、看護師の安田博子氏による特別講演が行われた。世田谷区立きたざわ苑は、平成20年から「オムツ・下剤ゼロ」に取り組むなど、入所者の自立支援を目標にした特養として知られている。

セミナー前半は、きたざわ苑施設長の岩上広一氏が「自立支援ケアを勧めます〜科学的介護介護を変えます〜」をテーマに、「オムツ・下剤ゼロ」をはじめとする「自立支援ケア」についての報告を行った。

平成13年に開設したきたざわ苑は、15年にパワーリハビリテーション、18年に在宅・入所相互利用制度を導入するなど、自立支援ケアにつながる取り組みを積極的に行ってきた。同時に、介護職スタッフを介護力向上講習会に参加させるなど人材育成にも意欲的で、18年に同講習会でオムツ外しの理論に出会ったことが、「オムツ・下剤ゼロ」につながった。

「きたざわ苑の開設当初は、入所者のオムツ使用率は50%でした。平成18年から施設内でオムツ外しの研修を行い、20年4月に使用率25%に。この年の9月に、施設長の私が『オムツゼロ』宣言をし、施設をあげての排便ケアがスタートしました」と岩上氏。

「オムツゼロ」の定義は、トイレで、座位で排便すること。下剤の廃止や適切な水分の摂取、食物繊維の服用、腹圧を補助する器具の使用などを行い、トイレでの自然で規則的な排便を促した。また、トイレで排便するには、歩行能力の向上が不可欠だが、「多くの高齢者は、下肢能力の低下ではなく、歩く機会がなくなることで歩けなくなっています」。段階を踏んだ歩行訓練を行うことで、入所時に歩くことができなかった要介護5で95歳の入所者が、半年後にコンビニへ買い物に行けるようになったという。

「歩行能力が改善すると、排泄に限らず、日常生活の動作能力が向上し、体力や食欲が高まり、すべての面で自立性が向上します。これこそが自立支援ケアの目指すところです」と岩上氏。そして、講演では、オムツゼロを可能にした、きたざわ苑および運営主体の社会福祉法人「正吉福祉会」の介護ビジョンや理念、施設が推進する「自立支援とターミナルライフ(ケア)」についても語られ、真に利用者のニーズに沿った施設ケアの最前線が伝わる内容の濃いものとなった。

介護はこれまで経験をもとに考えられてきたが、科学的理論を理解し、実践することで、できないと思っていたことが可能になる」「オムツ外しは目的ではなくプロセス。入所者が最後まで元気で過ごすことが真の目的」など印象に残る多くの言葉に、会場を埋めた介護職、看護職が熱心に耳を傾けていた。

◎世田谷区立きたざわ苑

◎太陽化学株式会社

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