キユーピーは、むせにくく、飲み込みやすく工夫した酢を要介護者の食事に取り入れることで、要介護者の「食べる力」の向上が見込めるという研究結果を、9月10日に発表した。本内容は特定医療法人北九州病院との共同研究によるもので、第58 回日本栄養改善学会学術総会(広島県広島市、広島国際会議場)で発表された。
食べることや飲み込むことが困難になった人の食事は、食べやすさ、飲み込みやすさを優先するため、使用できる食材が限定されがち。そのため、メニューの幅が狭くなり、そのことが食欲の減退にもつながるといわれている。
一方、酢はメニューの幅を広げ、食欲の増進が期待される調味料だが、その刺激がむせを生じやすくするため、要介護者の食事には取り入れにくい食材のひとつでもある。そこで同社は今回、酢をむせにくく、飲み込みやすい状態にしたソースを用い、食べる力が衰えた要介護者の食事に取り入れ、摂食状態の変化について調べた。
対象は、摂食・嚥下障害のある高齢者10名(男性2名 81.5±9.2歳、女性8名 84.0±8.6歳)。酢のソースを用いたメニューを全体の4分の1以上に取り入れた献立を提供し、毎日3食、12週間継続して摂取してもらった。
12週間の継続摂取後、被験者の嚥下反射の遅延や開口不良に顕著な改善が認められ、「食べる力」の向上が見込める結果が得られた。また、栄養状態の代表的な指標である血清アルブミン濃度の平均が3.3g/dLから3.5g/dLに増加し、体重の減少も10人中9人で認められなかった。このことから、酢のソースを用いたメニューを取り入れることが嚥下機能の問題解決をサポートしていることが示唆された。
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