厚生労働省は8月10日、社会保障審議会介護給付費分科会を開催した。
この日、議題にあがったのは、「地域区分について」、「これまでの議論の整理について」、「社会保障・税一体改革について」の3点。
「地域区分」は、介護保険制度創設時から、地域ごとの人件費の差を調整するために、国家公務員の地域手当の地域区分を基本として導入されていた。しかし、民間賃金の地域差を反映させるために国家公務員の地域手当は2010年4月から、「一律4.8%引き下げた上で、民間賃金が高い地域には3〜18%の地域手当を支給する」という見直しが行われたが、介護報酬には現状、反映されていない。
そこで、「平成24年度の介護報酬改定においては、全体の水準を引き下げた上で、国家公務員の地域手当を基本とした上乗せを検討すべきではないか」と議論が行われていた。
まず、地域区分の設定を現行の5区分から、国家公務員地域手当と同じ7区分に変更することについては、合意。厚生労働省が提示した資料によると、人事院規則で定める地域手当の地域区分に当てはめるた数値が示された。
このほか資料では、上乗せ割合について「国家公務員の地域手当に準拠した見直しを行ってはどうか」と記載されていたことから、委員からは、国家公務員の地域手当同様に一律4.8%引き下げられるのではないかと危惧する声が相次いだ。
三上裕司委員(日本医師会常任理事)は、「4.8%下げる意味がわからない。国家公務員給与は民間にあわせるために下げたのに、なぜ、介護報酬も下げなければいけないのか…」と指摘。勝田登志子委員(認知症の人と家族の会副代表理事)も、4.8%引き下げた際の試算を行うと非常に影響が大きいことを指摘し、危惧を示した。
こうした意見に対し厚労省側は、「介護保険の地域区分では『その他(手当の非支給地)』が多い。4.8%をそのまま採用するわけではない」と強く主張し、「(国家公務員給与の場合)格差があるのに格差どおりになっていなかったから見直したもの。下げた分は、上げる分にのせた」と説明した。
――第78回社保審レポ(2)へ続く
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