株式会社電通では、日本が超高齢社会をむかえる中、介護をテーマに介護者本人への食事や生活に係わるニーズ調査を2010年10月に実施した。
本調査は、要支援・要介護者(要介護2まで)を対象に、彼らの日常生活における食事や生活に係わるニーズ調査を行い、366サンプルから回答を得た。これは、彼らの現在の食事や生活サービスの利用実態を把握し、現在の不満・不安から新たなニーズを導き出し、今後の介護領域の商品・サービス開発に寄与することを目的としている。
【毎日の食生活】
・毎日の食生活に関しては、介護度の低い人は、7割が自分で調理・購入をしているものの、介護レベルが進むにつれて割合は減少し、要介護度2では1割程度となる。
・独居では「ヘルパーによる調理・購入」「配食サービス利用」がそれぞれ3割を超える。
・毎日の食事で困っているのは「いつも同じメニューになってしまう」「出来合のものはおいしいものが少ない」ことなど。
・「やわらか食など市販の高齢者向けの食品利用」は、2割程度に留まる。一方、栄養補助飲料や機能性飲料は約半数近い人が、不定期ながら利用している。
・高齢者向け食品、飲料の購入のきっかけとしては、家族に次いで、ケアマネジャー、ヘルパー、栄養士の勧めが大きく寄与する。
【日常の生活】
・要支援・要介護者が日頃していることとして上位に挙がるのは「テレビを見る」「新聞を読む」など。介護度が高くなると「デイサービス」の利用が高くなる。
・「大人用オムツ(お出かけ用を含む)」の利用率は4割程度。男性は「病気」など必要にせまられてだが、女性は「外出時」の安心材料としての利用も目立つ。
・現在、からだの症状で気になっていることで上位にあげられるのは「ころびやすい・つまずく」、「モノ忘れ」、「聴き取りにくい(聴力の低下)」、「むせる・咳き込む」など。
今回の調査から、市販の高齢者向け食品の利用率は、2割程度に留まる一方、栄養補助食品や機能性飲料は5割近い人が不定期ながらも利用していることが明らかと成った。また、 全般的に男性よりも女性の方が、からだへの不安を幅広く抱える傾向にあり、とりわけ「骨粗鬆症」「モノ忘れ」に対する不安が高い傾向が伺えることがわかった。