施設サービス選びの際の条件整理・資金計画

施設を選ぶには、まず入居される方の状況について整理し、それをもとにどのようなサポートや条件が必要かを考えることが大切です。また、施設の種類によっては利用料金にも差も出てきますので、資金計画も重要な要素です。
必要とされるサポートや条件と予算を見ながら施設を選んでいくには、その中で何を重要視すべきかの優先順位を付けることが必要になります。

条件整理・優先順位づけ

1. 状況の整理

施設への入居を検討されるようなったのは、在宅での生活、介護に不安や困難を感じるようになったためではないかと思います。ではなぜ、不安や困難を感じるようになったのでしょうか。
その原因となった心身の状況を整理してみましょう。

<身体状況>

たとえば、脳梗塞で右半身にマヒが生じたため、自分で着替えたり、食事をしたり、入浴したりすることが困難になったのだとします。その状況に対して、本人、
家族はどうしたいという意向を持っているかを整理します。たとえば、着替えや食事は手伝ってもらえればよいが、お風呂はできるだけ人の手を借りずに1人で入浴したいなどの希望があれば、それを書き出します。

<心の状況>

脳梗塞によって、「外出好きだったのに閉じこもりがちになった」、「できないことが増えてイライラすることが多くなった」など、気になる心の状況について箇条書きにします。

<本人が大切にしていること>

たとえば、朝はパン食ではなくごはん食がいい、カラオケ好きなのでカラオケができる設備があるといい、愛読書を本棚とともに持ち込みたい、などを書き出します。

<必要な医療>

月1回、受診している整形外科医と内科医を引き続き受診したい、右半身マヒのリハビリのため、週2回、デイケアに通って関節が動きやすくなるようリハビリを受けているが、同じリハビリができるなら
今のデイケアでなくてもよい、などのようにまとめておけるといいでしょう。

2. 条件の整理

<施設を選ぶ際の条件をの書き出し>

  • お風呂は個浴ができる家庭浴槽サイズの浴槽があり、できるだけ自力で入浴できるよう支援してもらえること
  • 以前のように外出できるよう支援してくれる体制があること
  • 朝食がごはん食である、あるいはごはん食かパン食かを選べること
  • カラオケができること、あるいは、右マヒがあっても気分転換につながるレクリエーションが用意されていること
  • 本や本棚などを自宅から持ちこめること
  • これまでやってきたのと同じリハビリを施設内でも続けられること
  • これまでのかかりつけ医を入所後も受診できること  など

<家族の希望・条件追加>

  • 息子の家から車で1時間圏内
  • 入居金は○万円以内、月額費用は○万円以内
  • できるだけ新しくてきれいなところ  など

3. 条件の優先順位づけ

書き出した条件について、絶対に譲れないものはから順に1、2、3…と優先順位をつけます。

資金計画

■資金の把握

「施設」と言っても、介護保険施設から民間企業が運営する施設など種類は様々で、同じ民間企業運営の施設でも、料金には大きな開きがあります。また料金体系も、入居金などの
まとまった金額の支払いの有無などで、支払金額のバランスや総額が変わることもあります。
資金総額を把握し、入居期間を想定し、入居金と月額利用料の支払い可能額を算出しましょう。

単位:年
  男性 女性 男女差
0歳(平均寿命) 79.44 85.9 6.46
65歳 18.69 23.66 4.97
70歳 14.93 19.31 4.38
75歳 11.43 15.16 3.73
80歳 8.39 11.36 2.97
85歳 5.96 8.07 2.11
90歳 4.14 5.46 1.32
95歳 2.84 3.6 0.76
100歳 1.93 2.33 0.4
105歳 1.3 1.47 0.17
(2011年 平均余命表 厚生労働省)
  1. 充当できる資金の把握
    • 総資産(自宅・不動産・預貯金・有価証券・退職金・その他)
    • 月々の収入(年金・家賃/給与収入・利子/配当金)
  2. 入居期間の想定
    • 平均余命から入居期間を予想する(平均余命+2年くらいを想定)
  3. 入居金と月額の支払い可能金額の割り出し

資金計画・把握項目
月々の収入 年金 (A)
家族からの援助 (B)
家賃収入など (C)
預貯金・不動産売却などの資産 (D)
親族への相続 (E)
臨時費用(入院などのために取っておく費用) (F)
※本人利用分(D)ー(E)ー(F) (G)
想定入居期間(平均余命+2年)×12ヶ月 (H)

<月額支払い可能額 割り出し式>

月額支払い可能額={(G-入居金※)/(H)}+(A)+(B)+(C)

<例> 75歳 男性 
月々の収入 年金 15万円
家族からの援助 3万円
家賃収入など なし
預貯金・不動産売却などの資産 1,500万円
親族への相続 なし
臨時費用(入院などのために取っておく費用) 300万円
※本人利用分(D)ー(E)ー(F) 1,200万円
想定入居期間(平均余命+2年)×12ヶ月 156ヶ月

<75歳 男性 例>

月額支払い可能額={(1,200万円-入居金※)/156ヶ月}+15万円+3万円

●入居金800万円の場合

月額利用料・・・約205,000円

●入居金500万円の場合

月額利用料・・・約224,000円

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