使用済み紙おむつの下水道での廃棄について検討している国土交通省は、紙おむつの使用に関する初の将来推計をまとめた。それによると、日本の高齢者人口がピークを迎える2040年の年間使用枚数は142億枚に達し、今後20年余りの間に21億枚増える見通しとなった。
同省は、「国立社会保障・人口問題研究所」の将来推計人口などを基に、0~4歳の「子ども」と、介護保険の対象となる40歳以上の「大人」に分け、1日5枚の紙おむつを使ったと仮定して推計を行った。「大人」は、要介護2以上を対象とした。
介護や育児などで紙おむつを使っている人の現在の推計値は、総人口の5.2%に当たる661万人。高齢者人口がピークを迎える40年には779万人に達し、このうち「大人」が全体の7割近くを占めた。「大人」の使用者の数は、20年余りの間に約200万人増となる見込みだ。一方、40年の「大人」の年間使用枚数は95億枚で、こちらは35億枚増える。
■紙おむつ処理装置、「使ってみたい」が半数超
同省はまた、昨年12月~今年1月、「紙おむつ・パッド類」を使っている一般消費者2939人と介護関連施設165施設を対象に初の実態調査も行った。
一般消費者に対して、紙おむつを廃棄する時に困っていること(「とても困っている」と「やや困っている」の合計)を複数回答で尋ねたところ、「保管場所のにおいが気になる」が44.8%で最も高く、家族介護で使用している1078人に限っても同じ結果だった。一方、介護関連施設では、「ゴミ収集場所への運搬が重労働」(55.9%)と「保管場所のにおいが気になる」(55.3%)が拮抗した。
同省では、機械で汚物を分離し、残った紙おむつをごみとして廃棄する「固形物分離タイプ」のガイドラインを年度内にも策定する方針で、調査では一般消費者の57.2%、介護関連施設の75.7%が、使用済みの紙おむつの処理装置を使ってみたい(「とても使ってみたい」と「どちらかというと使ってみたい」の合計)と回答した。