最近10年間でのケアマネジャーの給与の伸びは、介護職員と比較すると、4分の1程度にとどまっていることが、UAゼンセン日本介護クラフトユニオン(NCCU)の調査で分かった。NCCUの調査担当者は、「このままではケアマネは(介護職員にとっての)憧れの職種ではなくなる」と指摘。ケアマネの処遇改善の必要性を訴えた。
NUUCでは昨年9月から10月にかけて、組合員に対して処遇に関する調査を実施。8325人(月給制4577人、時給制3748人)から回答を得た。
月給制のケアマネの昨年8月の平均賃金は26万4731円で、同年3月と比べると2623円増えていた。増加率は1.0%だった。
一方、訪問系介護員の場合、平均賃金は21万4705円。昨年3月と比べると4014円増加し、増加率は1.9%だった。同様に通所系介護職員(平均賃金は20万3395円)の増加は5757円、増加率は2.9%。入所系介護員(平均賃金は22万1125円)の増加は4567円、増加率は2.1%となっており、ケアマネと比べるといずれも賃金の伸びは大きかった。
また、月給制の組合員全体でも平均賃金の伸びは4044円、増加率は1.7%だった。ケアマネの給与の増加は平均値にも達していない。なお、組合員全体の平均賃金は24万4206円だった。
介護職員の給与に比べてケアマネの給与が伸び悩んでいる背景について、NCCUでは「介護職員処遇改善加算」がケアマネを対象としていないことが影響したのではないかと分析している。
さらに同加算の前身である「介護職員処遇改善交付金」(※)が始まった2009年と昨年を比較すると、訪問系介護員は4万5214円、通所系介護職員では4万9888円の賃上げがあった一方、ケアマネの賃金の増加は1万2646円だった。
■「ケアマネが憧れの職種ではなくなる」
NCCUの村上久美子・政策部門長は、今後も制度が変わらなければ、介護職員の給与とケアマネの給与の差がどんどん縮まっていくと予測。その上で、「ケアマネは憧れの職種と言われていたが、近い将来、憧れでもなんでもなくなるのではないかという点が懸念される」と述べた。
注:09年10月から12年3月にかけて実施された施策。その後、ほぼ同じ制度の枠組みが現在の「介護職員処遇改善加算」に引き継がれている。